【11月5日 AFP】英小売り最大手のテスコ(Tesco)が、年齢と性別に合わせた広告を提供するために、ガソリンスタンドの利用客の顔をスキャンするスクリーンを設置する。

 この広告技術「オプティムアイズ(OptimEyes)」を開発したアムスクリーン(Amscreen)によると、スーパーチェーン世界第3位のテスコは、英国内450か所のガソリンスタンドにこのハイテクスクリーンを設置する。

 アムスクリーンのサイモン・シュガー(Simon Sugar)最高経営責任者(CEO)は、オプティムアイズについて、2002年のスティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)監督のSF映画「マイノリティ・リポート(Minority Report)」から飛び出て来たようなものだと語った。

 オプティムアイズのスクリーンは、レジに近づく買い物客の顔を感知して性別と推定年齢を識別し、そのターゲット層に合わせた広告を表示する仕組み。

 シュガー氏は、英食品業界誌グローサー(The Grocer)に対し、「これは英国の小売店の姿を変えるかもしれない。われわれの計画はこのスクリーンを可能な限り多くのスーパーに拡大することだ」と述べた。

■人権団体はプライバシーを懸念、メーカーは否定

 プライバシー擁護団体は、テスコのオプティムアイズ導入決定を激しく非難し、どこでスキャンを行うかを買い物客に公表するよう要求した。

 人権団体ビッグ・ブラザー・ウオッチ(Big Brother Watch)のニック・ピクルズ(Nick Pickles)氏は「買い物客がそのようなスキャンを認めていないにもかかわらず、店内を歩く買い物客をスキャンすることは、承諾という点で極めて大きな問題がある」と語る。

 だが、アムスクリーンはこの技術は「非侵害的」であり「プライバシーやデータ保護の要件を満たしている」と主張する。

「このスクリーンは網膜スキャンや顔認識技術などを使っておらず、いかなる方法でも顧客個人を特定しない。これは単純に、その人物が男性か女性か、そしてどの年齢層に属しているかだけを推測する」と、アムスクリーンの広報担当者はAFPの取材に語った。(c)AFP