【9月18日 AFP】英国の学校には少なくとも4万7000台の防犯カメラが設置され、200校以上がトイレや更衣室も監視対象にしている――。英市民団体ビッグ・ブラザー・ウオッチ(Big Brother Watch)の報告で12日、こんな実態が明らかになり、子どもたちのプライバシーをめぐって懸念の声が上がっている。

 ビッグ・ブラザー・ウオッチは英情報公開法(Freedom of Information Act)に基づきイングランド、スコットランド、ウェールズの中等学校と専門学校、計2107校の防犯カメラ設置状況に関する資料を入手。平均で生徒38人に1台の割合でカメラが設置されている現状を確認したという。

 ビッグ・ブラザー・ウオッチのニック・ピクルス(Nick Pickles)ディレクターは、調査結果について「英国の生徒たちのプライバシーに関する深刻な問題を提起している」と警鐘を鳴らしている。

「生徒5人に1台の割合でカメラが設置されていた学校もあった。学校内の監視態勢はわれわれの予想をはるかに上回るレベルだった。学校側は、カメラの設置理由と撮影した映像の取扱いについて明確に説明する必要がある」(ピクルス氏)

 2107校中、防犯カメラを導入していた学校は90%に上った。英国全土では10万台以上のカメラが学校内に設置されているとビッグ・ブラザー・ウオッチでは試算している。

 一方、英国の子育てサイト「ネットマムズ(Netmums)」の共同創設者、シバン・フリーガード(Siobhan Freegard)氏は、学校内のカメラ設置に賛同する。トイレや更衣室への設置も容認する姿勢だ。

「(トイレや更衣室の)個室スペースに(カメラが)設置されていないのは皆、理解しているはず。カメラがあるのは共用空間で、そこは実際、いじめや問題行動が多発している場所だ。教師がいない可能性の高い場所でもある。保護者たちはおそらく(防犯カメラ設置に)非常に満足しているだろう」(フリーガード氏) (c)AFP