【11月5日 AFP】国際児童保護NGO「テールデゾム(Terre des Hommes)」オランダ支部は4日、コンピューターで作成した10歳の少女をおとりに、児童性的虐待の疑いがある1000人以上の身元を特定したことを明らかにした。

 おとりに用いたのはコンピューターで作成された、架空のフィリピン人少女「スウィーティー」。同NGOは、オンラインでの性的行為を要求し、開発途上国の子どもたちに金を支払う意思を示した人々の身元情報を集め、警察に提出した。

 テールデゾムは、こうした新たな児童性的虐待が急速に広がっていながら、まだあまり認識されていないとして警鐘を鳴らす目的があったと説明。またフィリピンだけでも数万人の子どもたちが、ウェブカメラを利用した「セックスツーリズム」の被害にあっていると指摘した。

 インターネット上の各チャットルームに送り込まれた「スウィーティー」は、アムステルダム(Amsterdam)から同NGOによって遠隔操作された。すると10週間で71か国から2万人を超える利用者が「スウィーティー」に接触し、ウェブカメラの前で性的な行為を要求してきたという。

 チャットルームの利用者たちが「スウィーティー」とやり取りをしている間、NGOメンバーらがソーシャルメディアを通じて彼らの情報を収集した。これらの情報をもとに児童虐待の容疑者らを特定し、身元情報を警察に渡した。

 こうした形態の児童性的虐待について、テールデゾムは「被害者の子どもたち自身が警察に訴え出ない限り警察は行動を起こさない。だが、こうした犯罪で子どもたちが自ら警察に通報することはない」ことが最大の問題としている。

「スウィーティー」には米国、欧州だけでなくインドや日本、韓国からも接触があり、文字通り世界中から接触があったという。

 国連(UN)と米連邦捜査局(FBI)によると、インターネット上では常時、75万人を超える小児性犯罪者がいるという。しかし、児童を対象にしたウェブカメラを通じての「セックスツーリズム」で有罪となったのは、これまで全世界で6人のみとなっている。(c)AFP/Nicolas DELAUNAY