【11月4日 AFP】これまで3回の接種が必要とされていた子宮頸がん予防ワクチンについて、1回の接種でも有効かもしれないとする米国立がん研究所(National Cancer Institute)の研究結果が4日、医学誌「Cancer Prevention Research(がん予防研究)」に発表された。ワクチン接種の簡素化とコスト削減につながれば、若年層での接種率増加が期待できるとしている。

 子宮頸がんの主な原因とされるヒトパピローマウイルス(HPV)は性交渉により感染するため、まだ性交渉を行っていない少年少女のうちにHPV予防ワクチンを接種することで子宮頸がんリスクを減らせる。しかし2012年の米国の研究によれば、米国内の10代女子のうち推奨されている3回の接種を受けたのは約30%で、男子はわずか7%にとどまっている。

 米国立がん研究所のがん疫学・遺伝学部門のチームは、中米コスタリカで18~25歳の女性約7500人を対象に行われた、英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKlineGSK)の子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス(Cervarix)」を用いた臨床試験について調べた。対象者は全員3回の接種を推奨されていたが、うち2割の女性は接種回数が3回未満だった。

 そこで研究チームは、ワクチン接種を1度しか受けていない女性78人のグループと、2回受けた192人、3回受けた120人のグループについて、血液を採取して比較分析した。すると、3つのグループ全てで、子宮頸がんの主な原因とされるHPV16型と18型に対する抗体が確認できたという。

 これらの抗体は最長で4年間、血液中に存在した。これは研究者が考えているHPVワクチンの有効期間とほぼ一致する。

 抗体値も、ワクチン接種1回のグループではやや低めだったものの、全グループとも期間を通じてほぼ一定しており「持続的な反応」だと考えられると、研究チームは指摘している。(c)AFP/Kerry SHERIDAN