【10月11日 AFP】カナダの一部先住民らの間で神聖視されていた白いヘラジカがハンターたちによって撃ち殺され、ネット上で大きな批判が集まっている。批判の的となっているハンターたちは、白いヘラジカの持つ重要性について知らなかったとしており、自らの行為を償いたいとしているという。

 ノバスコシア(Nova Scotia)州で先週殺された白いヘラジカは、州内の町ランツ(Lantz)の剥製店に持ち込まれた。この剥製店は、ヘラジカの死骸の写真を撮影し、ソーシャルメディアのフェイスブック(Facebook)に投稿した。

 ヘラジカが撃ち殺されたとのニュースは瞬く間に広がった。投稿先のページには、3日で1万件ほどのアクセスがあり、ハンターたちに向けた厳しいコメントが多く寄せられた。

「あのような美しい生き物を殺すことができるなんて信じられない。さぞかし鼻高々だろう。恥を知るべきだ」

 ある仲間のハンターは、「コミュニティーにとって神聖視かつ尊重されているものが、なぜトロフィーなどになりえるのだろう?」と述べ、大きなショックで悲しみに暮れたとコメントした。

 ヘラジカの死骸が持ち込まれたランツの剥製店店主によると、ハンターたちが白いヘラジカの重要性について知っていたら、撃つことはなかったと語ったという。

 店主はAFPに対し、「白いヘラジカを撃ち殺すと悪いことが起きると一部の人間は信じているようだが、ハンターたちはそのことについて全く知らなかった」と述べた。またハンターたちには償う気持ちもあることを明らかにしている。

 ハンター3人は、地元先住民のミクマク(Mi'kmaq)の人々に謝罪し、毛皮を手渡すことを約束した。毛皮は、ヘラジカに敬意を表すため、そして悪いことが起きないよう「呪いを解く」ために来週予定されている儀式で使われるという。

 しかしハンターたちは、ヘラジカの頭については「トロフィー」として保持するとしている。

 地元先住民のリーダーは「カナダ放送協会(Canadian Broadcasting CorporationCBC)に対し、白いヘラジカが殺され人々は激怒している、「どのような方法、形、状況においても、われわれは白いヘラジカに危害を加えることはない。彼らは、われわれのコミュニティーで何か重大なことが起きると知らせに来てくれた自分たちの祖先かもしれないからだ」と語った。(c)AFP