【4月13日 AFP】米アリゾナ州(Arizona)の先住民ホピ(Hopi)族の儀式用マスク約70点が12日、仏パリ(Paris)で競売に掛けられ、計90万ユーロ(約1億2000万円)以上の高値で落札された。競売は精霊の冒瀆(ぼうとく)にあたると主張していたホピ族の人々は、裁判所に差し止めを請求していたが、裁判所はこれを棄却。競売はそのわずか数時間後に行われた。

「カチナ(Kachina)」と呼ばれる精霊が宿るとされる色鮮やかなマスクや頭飾りが出品された競売会場には、多くの入札者が訪れた。これらの品は最終的に、数人の買い手により計93万1435ユーロで落札された。

 1万8000人余りが所属するホピ族は、マスクには神聖な霊が宿っていると信じており、競売に対する怒りの声を上げていた。また、アリゾナ州にある2つの博物館も競売の中止を要求したほか、米俳優のロバート・レッドフォード(Robert Redford)氏や駐仏米大使なども中止や延期を求めていたが、裁判所は競売が法律違反には当たらないと判断した。

 競売を主催した仏競売会社ネレミネ(Neret-Minet)は裁判所の決定を受け、「どんな文化のものだとしても、神聖な品物の販売を禁止する先例を作らないことは重要」との声明を発表した。

 競売会場には、パリの学生でホピ族出身のボー・ロマフクアフ(Bo Lomahquahu)さん(25)も訪れていた。ロマフクアフさんはAFPに対し「これらはただの美術品ではない。私たちはそこに精霊が宿っていると信じている」と述べ、競売は決して許されるべきではなかったと語気を強めた。(c)AFP/Sandra Lacut