【10月11日 AFP】2013年のノーベル化学賞(Nobel Prize in Chemistry)を受賞することが決まったアーリエ・ウォーシェル(Arieh Warshel)氏(72)は9日、共に同賞を授与される2人のうち1人であるマーティン・カープラス(Martin Karplus)氏とは「口を利く仲ではない」と明かした。ただ今回の受賞で、また話すきっかけができるのではとも述べている。

 イスラエル系米国人のウォーシェル氏は、ロサンゼルス(Los Angeles)で開かれた記者会見の後、AFPの取材に対し、「もう一方のかた(カープラス氏)とは、実はあまり口を利いていない。まあ、どうなりますかね」と述べた。共同受賞する両者とも一緒に働いたことはあり、米英の二重国籍を持つ「僚友」のマイケル・レビット(Michael Levitt)氏とは受賞後に手短に話したものの、オーストリアと米国の二重国籍を持つカープラス氏とはそうした関係ではないらしい。

 ウォーシェル氏は、詳細を語ることは避けたものの、「近いうちに話すでしょうから、ディナーでもおごってもらいますか」と付け加えた。

 ウォーシェル氏が記者たちに語ったところによれば、就寝中だった午前2時頃にノーベル賞の事務局から電話で受賞を知らされ、その後イスラエルのシモン・ペレス(Shimon Peres)大統領とベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相の双方から電話をもらったという。

 その際ネタニヤフ首相は、同氏の研究内容について簡単に説明するよう頼んだが、「理解できないかも」と先にわびたという。

「そこで1分間だけレクチャーをしたら、彼は理解してくれた。しかも『大臣たちにも今後は1分で言いたいことを説明させるよ』と言っていた」とウォーシェル氏が語ると、会見場は笑いに包まれた。

 また、質問に立った記者が、ノーベル賞受賞者に与えられる莫大な賞金は何に使うつもりかと聞いたところ、ウォーシェル氏は「まず、賞金は莫大というほどではない」と応じて笑いを誘い、「次に、賞金に税金がかかるかどうか分からない」と話したが、課税対象となることを聞かされて、「じゃあ妻に聞くべきだね」とジョークで締めた。

 共同受賞者の3人は、経済危機の影響で、昨年1000万スウェーデン・クローナ(約1億5000万円)から800万クローナ(約1億2000万円)に減額された賞金を分割することになっている。(c)AFP