【9月26日 AFP】運転手の頭に装着した器具を通じて脳の活動を監視し、注意が散漫になっているときには減速する自動車の試作版が、開発したオーストラリアの交通安全研究チームによって25日に公開された。

 チームを率いた神経工学企業エモーティブ(Emotiv)のジェフリー・マッケラー(Geoffrey Mackellar)主任研究員によれば、14のセンサーが付いたヘッドセットが脳の活動の種類や量を測定し、運転者の注意力の状態を判定、実際のアクセルペダルの動作に優先して速度調整を行う。運転者の集中力が下がると車は減速し、意識が再び完全に運転に注がれると速度が戻る仕組みになっているという。

 試験段階ではドライバーに携帯電話を使わせたり、ラジオのチューニングを変えさせたり、水を飲む、地図を見るといった「気が散る行動」をさせて、その間の脳活動を記録した。また時速15キロの低速運転をさせて「退屈な時間帯」をわざと作り、ぼうっとしているときの脳活動についても調べた。

 この試作車は、ウエスタンオーストラリア州王立自動車クラブ(Royal Automobile Club of Western Australia)の依頼により製作された。今後、商業用として開発していく可能性もあるが、現在のところは研究と、安全運転に関する啓蒙活動としての役割に焦点を当てているという。(c)AFP