【8月16日 AFP】英ロンドン(London)で13日、英国産ビールの祭典「グレート・ブリティッシュ・ビア・フェスティバル(Great British Beer FestivalGBBF)」が開幕し、イングランド北部ヨークシャー(Yorkshire)州にあるエランド醸造所(Elland Brewery)の銘柄「1872ポーター(1872 Porter)」が、英国伝統の製法で造る「リアルエールビール」のチャンピオンに輝いた。

 ロンドン西部ケンジントン(Kensington)の見本市会場オリンピア(Olympia)で開催中のGBBFでは5日間の会期中、800種類を超えるアルコール飲料が提供され、5万5000人以上の来場が見込まれている。主催はリアルエールの普及と提供するパブを守る活動を行っている消費者団体カムラ(CAMRA Campaign for Real Ale)だ。

 工場で炭酸ガスを注入し低温殺菌した大手メーカーのラガービールと異なり、リアルエールは伝統的な原料を使って樽(たる)でゆっくり自然発酵させるビールで、樽から直接グラスに注いで提供される。

 CAMRAのコリン・バレンタイン(Colin Valentine)会長は「非常に難しい審査だったが、エランド・ポーター1872は最高のビールで王者にふさわしい」とコメントした。「アルコール度数6.5%のこのビールは、コクが深く、コーヒーとダークチョコレートの香りが特徴だ。今回のポーター1872の受賞で、われわれが冬におすすめのウインタービール・ナンバー1に選んだビールが2年連続で英国王者に輝いたことになる」

 一方、エランド醸造所の主任醸造者、マイケル・ウィニチュク(Michael Wynnyczuk)氏は「ものすごく驚いた」と述べている。「冬のエール品評会で優勝したので、夏のGBBFではどうかなと思っていた。暑い季節には違うタイプのビールが飲みたくなるのではないか、と。とはいえ、ポーター1872は素晴らしいビールだ。英国ビール王者になったことを心から誇りに思う」

 準優勝はハートフォードシャー(Hertfordshire)州のバンティングフォード醸造所(Buntingford Brewery)が造る「トゥイッチェル(Twitchell)」で、「ビター部門」では1位を獲得した。3位には「ゴールデンエール部門」で1位だったスコットランド西部アーガイル(Argyll)にあるファイン・エールズ(Fyne Ales)醸造所の「ジャール(Jarl)」が入った。

■エール人気、女性の愛好家も増加

 CAMRAによると、同団体の会員数はこの10年で6万5000人から15万人に増えた。会員の22%が女性だという。

 英国ではビール全体の販売量は過去3年間でパイントグラス5億杯分以上も落ち込んでいるが、リアルエールの売り上げは好調を保っており、2011年にはわずかながら増加さえした。バレンタイン会長は「現在、1000を超える醸造所が8000種類を超えるリアルエールを造っている。地ビールの需要も高まっているが、英国にはいたるところに醸造所があるから、誰もが地ビールを楽しめるということになる」と語った。

 バレンタイン会長は女性会員の増加傾向も歓迎。「リアルエールを飲んでみようという女性が増えていることは、非常に楽しみだ。男性だけのものではなく、女性の飲み物でもあるとみなされるようになりつつある。この傾向は、英国のビール市場全体を成長軌道に引き戻すだろう」と話している。(c)AFP