【7月16日 AFP】ロシアではウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の政敵が次々に裁判にかけられ、長期の禁錮刑に処される可能性に直面している──18日には、反政権運動の指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)被告が、横領の罪に問われた裁判で判決を下される。

 ロシア西部キーロフ(Kirov)の裁判所は18日、材木取引をめぐり横領の罪に問われている反政治腐敗運動のカリスマ的な指導者、ナワリヌイ被告に対する判決を言い渡す。検察側は禁錮6年を求刑。ナワリヌイ被告側は、クレムリンの命令で「白い糸で縫われた(あからさまにでっち上げられた、の意味)」罪状だと主張している。

 だが、活動家らが旧ソ連時代の弾圧の再来だと非難の声を上げる対象は、ナワリヌイ被告の裁判に限ったことではない。プーチン大統領の政敵らは、任意の口実で次々と投獄されている。

 2012年5月のプーチン氏の3回目の大統領就任の前に起きた反政権デモで暴動を起こしたとされている人物らに対しても、犯罪捜査や刑事裁判はすでに始まっている。またこれまでにも、反プーチン派の実業家で富豪のミハイル・ホドルコフスキー(Mikhail Khodorkovsky)氏や過激なアート集団プッシー・ライオット(Pussy Riot)のメンバーらに実刑判決が言い渡され、大きな注目を集めた。反プーチン派は、これらが「政府の高いレベル」から命令されたものだと主張する。

「これら一連の裁判の目的は、誰がボスであるかを明らかにすること…社会の中の行動的な人々を怖がらせ、反対運動が時間の無駄でしかないことをはっきりさせることだ」と、反対運動を支持する政治アナリストのドミトリー・オレシュキン(Dmitry Oreshkin)氏はAFPに語った。

 7月初頭には、モスクワ(Moscow)の北東約300キロメートルにあるヤロスラブリ(Yaroslavl)の野党系の市長が、ある実業家から42万ドル(約4200万円)を奪い取ったとして部下らとともに逮捕された。

 ヤロスラブリ市長のエフゲニー・ウラショフ(Yevgeny Urlashov)氏は、与党の統一ロシア(United Russia)を離党して野党勢力に加わった人物。ウラショフ氏は容疑を否認し、立候補を計画していた地元での選挙を前に、圧力をかけられたと非難している。

「どのような手段かを問わず、私のことを排除するつもりだと警告された」と、ウラショフ市長はテレビ番組で語った。市長によると、金を奪い取られたと訴えた実業家は統一ロシアの党員だったという。(c)AFP/Nicolas MILETITCH