【7月9日 AFP】(写真追加)カナダ東部ケベック(Quebec)州ラックメガンティック(Lac-Megantic)で発生した原油輸送列車の脱線・爆発炎上事故から2日が過ぎた8日、現地の検視官はこの事故による死者は13人になったと発表した。警察は、三十数人が行方不明になっていると発表し、捜索範囲を拡大する考えを示した。この事故では町の一部が壊滅的被害を受けた。

 検視官の発表に先立ち警察は、黒焦げになった残骸の一部にまだ到達できずにいることを認めた。同州警察のスポークスマン、ブノワ・リシャール(Benoit Richard)氏は、2キロ平方メートルの被災地の大半が現在も「極めて危険な状態」にあるため、「夜間の捜索は行えない」と説明。同氏は報道陣に対し、まだくすぶっているがれきが冷えて消防保安官が許可を出せば、捜査官がこの景勝地の湖畔の村で徹底した捜索を行う方針だと述べた。

 当局によると、最も懸念されているのは土壌汚染だが、今回の事故で列車による原油輸送の問題点も注目を集めた。パイプラインの新規建設に環境活動家が激しく反対しているため北米で増加している原油生産量に追い付けず、原油輸送の大半が列車に依存している。カナダ鉄道協会(Railway Association of Canada)によると鉄道による原油輸送量は、2009年にタンク車500両分だったが、今年はこれまでに14万両分と急増しているという。

 また同州のイブフランソワ・ブランシェ(Yves-François Blanchet)環境相がカナダ放送協会(CBC)に語ったところでは、付近を流れるショーディエール川(Chaudiere River)の上空から観察する限り、「非常に薄い」油膜がラックメガンティックから約100キロメートル離れたところにまで達し、セントローレンス川(Saint Lawrence River)に向かっているという。同環境相は10万リットルの原油が流出したと推定している。関係者は、流出したのは軽質油であるため大半が回収可能で、生態系への影響も最小限で済むとしているが、住民には当面川の水を飲まないよう呼び掛けている。(c)AFP/Laurent Vu The