【6月20日 AFP】中国人はこれまで欧州産のワインを買い占めてきたが、中国のワイン生産量は2014年までにオーストラリアやチリを上回ると予想されている。中国西南部の雲南(Yunnan)省で家族と共にワイン造りをするティアナ・ウー(Tiana Wu)さんは、欧州の人々が彼女のワイン「雲南紅(Yunnan Red)」に惹きつけられるようになるのではと期待を膨らませる。

 フランスのボルドー(Bordeaux)で開かれた世界最大級のワインと蒸留酒の見本市「ビネクスポ(Vinexpo)」に参加したウーさんはAFPに「年100万ケースを生産している。今は輸出の可能性を探っているところだ」と話した。「私たちのワインには独特の味わいがある。ここの消費者がこれを受け入れてくれるかどうか確かめたい」

 ビネクスポの責任者、ロベール・ベナ(Robert Beynat)氏によると、中国のワイン生産量は、世界のワイン生産国の中でその順位を着実に上げている。「来年までに、オーストラリアやチリなどを抜いて6位に浮上する見込みだ。非常に嬉しく思う」と述べ、その理由について「ある国のワイン生産量が増えると、その国のワイン消費量も多くなる。消費量が多くなると、輸入も増える。これは50年前にアメリカで起きたことだ」と説明した。

 ただ、中国人が造ったワインなどのアルコール飲料が、欧米人の味覚を満足させることができるかどうかという大きな課題もある。

 ここ数年、中国人がボルドーのブドウ園を購入するケースが増えており、フランス産ワインの生産者の中には、中国からの顔ぶれが見られるようになった。ゴジベリー(クコの実)をベースとした酒を30年作り続けている業界の大物、チャン・ジンシャン(Zhang Jinshan)さんは、ボルドーのアントル・ドゥー・メール(Entre-Deux-Mers)地方の歴史あるワイナリー「シャトー・デュ・グラン・ムエイ(Chateau du Grand Moueys)」を購入した。同地方にゴルフ場とスパを建設する計画も立てているという。

 ビネクスポ初参加のチャンさんはボルドー産ワインと一緒に、中国産の酒類も展示した。1000万本の生産の一部を輸出に回すことを念頭に置いており、明確な事業戦略も立てている。「われわれはシャトーを購入した。今後、別のシャトーから購入したワインを中国で販売する事業を立ち上げ、最終的には中国産ワインを欧州に輸入するつもりだ」とAFPに語った。(c)AFP/Suzanne MUSTACICH