【6月5日 AFP】妊娠中だった英キャサリン妃(Catherine, Duchess of Cambridge)が入院していたロンドンの病院に、英女王と皇太子になりすまして電話をかけ、取り次いだ看護師が自殺する悲劇をもたらすきっかけとなった豪ラジオ番組の司会者が、親会社の経営陣から「トップDJ」として表彰された。

 マイケル・クリスチャン(Michael Christian)さんが司会する番組を放送するラジオ局の親会社サザンクロス・オーステレオ(Southern Cross Austereo)は4日、クリスチャンさんを表彰することに「ワクワクしている」と発表した。クリスチャンさんは現在、メルボルン(Melbourne)のラジオ局「Fox FM」の朝の時間帯を担当しており、同局の看板DJの1人となっている。

 クリスチャンさんと同僚のメル・グレイグ(Mel Greig)さんは昨年12月、ラジオの生放送中に英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)とチャールズ皇太子(Prince Charles)になりすましてウィリアム王子(Prince William)の妻、キャサリン妃の入院する病院に電話をかけ、キャサリン妃の体調について聞き出した。

 この生放送中のいたずら電話は世界中のメディアで取り上げられ、さらに、この電話を最初に受けてキャサリン妃の担当看護師に取り次いだ看護師が、放送の3日後に首をつって自殺する悲劇が起こり、2人の司会者は激しい批判にさらされた。

■豪通信相は表彰に不快感

 オーストラリアのスティーブン・コンロイ(Stephen Conroy)通信相は、こうした状況から判断して表彰は悪趣味だと語った。

 同通信相は5日、メルボルンのラジオ局3AWに対し「この件は少々悪趣味だと思う。いたずらから極めて深刻な結果がもたらされたにもかかわらず、そのような出来事からこれほど間もないうちに表彰を行うというのは、悪趣味だと思う」と述べた。

 一方、クリスチャンさんは受賞に際した声明で、事件について遠まわしに触れた。「最初から私は、自分自身に対して何かを証明することができると感じていた。この数か月の間にあれだけ、いろいろなことが起きたにもかかわらず、私は依然、絶好調だ。だから最終順位表のトップに自分の名前があるのを見て、良い気分だったよ」とクリスチャンさんは述べている。

 クリスチャンさんには、米ロサンゼルス(Los Angeles)のスタジオ見学旅行が副賞として授与された。(c)AFP