【5月21日 AFP】女子テニス協会(WTA)は20日、サウジアラビアの政府系基金パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)と「複数年のパートナーシップ」を締結したと発表した。男子プロテニス協会(ATP)も2月、PIFと同様の契約を結んでいる。

 WTAは声明で「女子プロテニスを成長させることや、より多くの世界中の女性や少女たちにこの競技を始めるきっかけを与えることへの野心」をPIFと共有していると述べた。また、PIFが「WTAの世界ランキング命名権を持つ最初のパートナー」になるとも補足した。

 PIFで企業ブランド部門の責任者を務めるモハメド・アルサイヤド(Mohamed Alsayyad)氏は、「WTAとのパートナーシップを通じ、PIFは女子スポーツの成長を促進する存在であり続けていく」とし、「この協力関係は、この競技を向上させて女子スポーツ界に前向きな成長をもたらすという、われわれの野心と一致する」と述べた。

 これに先立ちWTAとPIFは先月、女子のシーズン最終戦WTAファイナルズ(WTA Finals)のサウジアラビア開催を発表した。シングルスの年間上位8人とダブルスの上位8組が出場する同大会は、今年から3年間にわたり同国の首都リヤドで行われる。

 一方、サウジアラビアのテニス界進出については、ゴルフやサッカーと同様に反発の声が上がっている。女子テニスの伝説的選手であるクリス・エバート(Chris Evert)氏とマルチナ・ナブラチロワ(Martina Navratilova)氏は今年1月、米紙ワシントン・ポストの論説で女性の権利に関するサウジアラビアの歴史を非難した。

 世界最大の原油輸出国で保守的な国として知られるサウジアラビアは近年、厳格なイメージを緩和するための大きな試みの一環として、スポーツ大国を目指している。こうしたリブランディングの動きは、石油依存脱却後の豊かな将来に向けた同国の社会・経済改革「ビジョン2030(Vision 2030)」を成功させるための核となっている。

 サウジアラビアでは昨年、同国で初のATPツアー大会となるネクストジェネレーション・ATPファイナルズが開催されたほか、男子のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)とカルロス・アルカラス(Carlos Alcaraz、スペイン)、女子のアリーナ・サバレンカ(Aryna Sabalenka)とオンス・ジャバー(Ons Jabeur、チュニジア)らによるエキシビションマッチも行われた。

 今年1月には、ラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)がサウジアラビア・テニス連盟(STF)のアンバサダーに就任していた。(c)AFP