【5月3日 AFP】2か月前に退位した前ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI、86)が2日、バチカン市国に戻った。今後は、かつての修道院を改装した建物で生活する。新旧両法王がそろってバチカン内に暮らすのは前例がない。

 ベネディクト16世の帰国は、バチカンの公式メディア以外には非公開という、比較的控えめな形で行われた。同メディアは前法王の帰国直後、この時の様子を写したビデオ映像の提供を行わないことを発表。これにより、前法王の体調を案じる声が広がっている。

 ベネディクト16世は、2月末に退位して名誉法王となって以降、イタリア・ローマ(Rome)郊外の湖畔にある歴代法王の離宮、ガンドルフォ城(Castel Gandolfo)に滞在していた。2日午後(日本時間同日夜)にヘリコプターでバチカンに到着したベネディクト16世は、タルチジオ・ベルトーネ(Tarcisio Bertone)国務長官(首相に相当)をはじめとする同国高官が出迎えた。

 同国の声明によると、フランシスコ(Francis)法王は、前法王の新居となる元修道院の入り口で「大きな友愛の真心を込めて」前法王を歓迎したという。

 バチカン内には新旧両法王が暮らすことになったが、新法王用の邸宅は空いたままだ。フランシスコ法王は、法王選出会議コンクラーベの際に、他の枢機卿と一緒に宿泊していたバチカン内のホテル「カーサ・サンタマルタ(Casa Santa Marta)」という、より質素な施設に引き続き住み続けている。(c)AFP/Jean-Louis DE LA VAISSIERE