【4月11日 AFP】駆除が困難なことで知られる吸血性の昆虫「トコジラミ(ナンキンムシ)」の画期的な駆除方法が、バルカン半島に古くから伝わる慣習をナノスケールで研究することで開発されるかもしれない──。
 
 ブルガリアやセルビアなどバルカン諸国の一部農村地域では、寝る前にインゲンマメの葉をベッド周辺にまき、翌朝、トコジラミが付いた葉を燃やして害虫を駆除する習慣がある。

 米カリフォルニア大学アーバイン校(University of California at IrvineUCI)の研究者らは、インゲンマメ(学名:Phaseolus vulgaris)の葉の表面に生える微細な毛が虫の寄生を防いでいるとし、その構造を人工的に再現する取り組みについての報告を、9日の英国王立協会(British Royal Society)の専門誌で発表した。

 インゲンマメの「防衛」の仕組みについて解明に乗り出した研究チームは、高速撮影機器と走査型電子顕微鏡(SEM)を使い、葉の上のトコジラミを観察した。その結果、インゲンマメの葉には「トライコーム(毛状突起)」と呼ばれる非常に鋭い突起物があり、これがトコジラミの脚に突き刺さることで身動きをとれなくしていることが分かった。

 この構造に着目した研究チームは、大きさも形もそっくりな試作品を開発し、トコジラミの動きを「一時的」に止めることに成功した。今後は、どんな場所でも長期間にわたって使用可能な「トコジラミトラップ」の開発を目指しているという。(c)AFP