【3月30日 AFP】2014年サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)欧州予選の試合で、一部のサポーターが人種差別的なやじをとばした事に対し、人種差別反対運動団体がイングランドサッカー協会(Football AssociationFA)に厳しい処置を取るよう求めた。

 22日にサンマリノで行われたW杯予選試合で、イングランドのサポーターの一部が、同国代表のリオ・ファーディナンド(Rio Ferdinand)と、その弟で同じくサッカー選手のアントン・ファーディナンド(Anton Ferdinand)に向けた侮辱的なチャントを発した事が問題となった。

 反人種差別団体「Football Against Racism in Europe(FARE)」は28日、一部のイングランドサポーターが「兄弟を火あぶりにしてしまえ」とチャントしたことを国際サッカー連盟(FIFA)に報告しており、同連盟は調査に乗り出しているという。

 この事件を受けて、人種差別撲滅団体、キック・イット・アウト(the Kick It Out)のヘルマン・ウーズレイ(Herman Ouseley)会長は英国放送協会(BBC)のインタビューにで「人種差別主義的な発言であろうとなかろうと絶対に許されることではない。まさに恥ずべきことで、スポーツにあるまじきことだ。何かの措置を講じる必要がある」と述べ、調査の必要性を訴えた。

 一方、FAは今回の問題を深刻に受け止めているとしているが、人種差別的なチャントがあったかという事実を確認していないと発表した。

 FAのアドリアン・ベヴィントン(Adrian Bevington)氏は、「人種差別主義を摘発するという正義のために報道したメディアを批判するつもりはないが、リオとアントン・ファーディナンドに対して差別的なチャントを行ったという事実と、下劣な『火あぶり』の歌に関して、我々は現在録音された証拠を持ちえていない。しかしもちろん今後もすべての録画されたビデオを調べていくつもりだ」とコメントした。

 リオは今月頭、サンマリノ戦のためにおよそ2年ぶりに代表招集を受けたが、事前に計画していたトレーニングと予定が重なることを理由に出場を辞退した。しかし試合当日には、リオがカタールへ出向き、この対戦の解説者を務めたことから、ファーディナンド兄弟は批判の標的となった。

 2011年にアントンが、当時のイングランド代表主将、ジョン・テリー(John Terry)に人種差別的発言を受けたとしてテリーを起訴したこともあり、リオは長期にわたり同国代表から外れていた。(c)AFP