【9月3日 AFP】警察官の発砲により34人が死亡した南アフリカのマリカナ(Marikana)鉱山の労働争議事件で、同国公訴局のノムグコボ・ジバ(Nomgcobo Jiba)長官代行は2日、アパルトヘイト時代に制定された法律「共同目的の原則(Common purpose principle)」を適用し、殺人罪で起訴した鉱山労働者270人について、起訴を一時取り下げることを発表した。

 ヨハネスブルク(Johannesburg)北西にある英資源大手ロンミン(Lonmin)のプラチナ鉱山で8月16日、山猫スト(組合中央の指令によらないストライキ)が発生し、警官隊の発砲で、アパルトヘイト(人種隔離政策)撤廃以後の警察暴力による死者数としては最悪の34人が死亡、78人が負傷する事件が起きた。

 事件では、アパルトヘイト時代に白人の少数支配政権が黒人の差別撤廃運動を取り締まるために制定した法律「共同目的の原則」で、労働者270人を即日逮捕、起訴した当局に世論の激しい反発が集まっていたた。

 ジバ長官代行は、司法省の上席検事から説明を受けて起訴処分の再検討を決めたと述べ、記者団に「現在の容疑者270人に対する起訴は当初から暫定的なものだったが、被告たちには次ぎの法廷で起訴の一時取り下げを通告する」と語った。

 起訴の是非については、事件をめぐる一連の捜査が終わり次第、最終的に判断されることになる。この中には、来年1月に報告書が提出される予定となっているジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)大統領指名の司法調査委員会による調査も含まれており、「事件関係者への最終的な起訴内容の発表は、すべての調査が完了した後に行われることになる」と、ジバ氏は語った。

 労働者らの釈放は、住所が確認でき次第、3日から始まる。すでに身元が確認されている140人以上が3日中に釈放され、残りの労働者らも6日までに釈放される予定だという。

 マリカナ鉱山のストライキは交渉が決裂し、現在も閉鎖が続いている。労働者側は現状の月額4000ランド(約3万7000円)から1万2500ランド(約11万6000円)への賃上げを要求しており、交渉は3日から再開される予定。プラチナ生産世界3位のロンミン側は、労働者は賞与やその他手当てを合算すると月額およそ1万ランド(約9万3000円)の収入を得ていると主張している。(c)AFP/Susan Njanji