■ロンドン五輪で更新される世界記録

 2010年に高速水着が禁止されて以降、ロンドン五輪が開幕するまで高速水着を使用せず世界新記録を樹立したのは、男子200メートル個人メドレーのライアン・ロクテ(Ryan Lochte、米国)と男子1500メートル自由形の孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ、中国)の2人だけだった。

 しかし、女子400メートル個人メドレーで中国の葉詩文(Shiwen Ye、ヨウ・シブン)が4分28秒43を計時し、世界記録更新の口火を切ると、女子100メートルバタフライでは米国のダナ・ボルマー(Dana Vollmer)が55秒98を記録し、金メダルを獲得した。

 また男子100メートル平泳ぎでは南アフリカのキャメロン・ファンデルバーグ(Cameron van der Burgh)が58秒46、男子200メートル平泳ぎではハンガリーのダニエル・ギュルタ(Daniel Gyurta)が2分7秒28を記録し、それぞれ世界新で金メダルに輝いている。

 その他にも女子200メートル平泳ぎで米国のレベッカ・ソニ(Rebecca Soni)が世界新記録を叩き出している。

 五輪の女子200メートル背泳ぎで金メダルを2度獲得しているジンバブエのクリスティ・コベントリー(Kirsty Coventry)は、これらの結果に驚いてはいないと話している。

「高速水着の時のように、記録が2、3秒縮まれば奇妙だとは思う」と話すコベントリーは、今回の五輪ではトップと最下位の差があまり大きくないことから、全体的に実力差が縮まっていると指摘している。

 コベントリーは「女子の決勝を見れば気付くと思うけれど、選手間の差は全員1秒以内に収まっている。北京五輪やアテネ五輪でトップと最下位の差が数秒以上ついていたことを考えると、競泳全体のレベルが上がっていることが証明されているし、とても刺激的なことよ」と語った。

 また短距離を得意としている米国のアンソニー・アービン(Anthony Ervin)は、様々な科学技術が登場したとしても、選手たちの記録更新は止められないと話している。

 アービンは「みんなが不可能だと思うところまで限界を上げることは、人間の精神の一部だと思います。私たちは、自分たちが進化するための責任を背負っている」と語っている。(c)AFP/Rebecca Bryan