【6月25日 RenewableEnergyWorld.com】降り注ぐ陽射しに恵まれた5月25日と26日の2日間、ドイツの太陽光発電量が史上最大を記録した。一時は2200万キロワットに達し、ドイツの電力需要の半分近くが太陽光発電で供給された。

 太陽光発電量は工場や企業が稼動していた25日金曜日の正午ごろに全国の電力需要の約3分の1に達し、好天に恵まれた翌26日土曜日の正午ごろには50%近くに上った。

 太陽光発電で断続的に発電された電気をどの程度までなら大規模な停電を起こさずに送電網に供給できるのかといった、原子力発電から太陽光・風力・バイオマス燃料など再生可能エネルギーへの転換を図る中で持ち上がっていた重要な問いに答えを出した形になった。

 原子力依存からの脱却に熱心なドイツだが、それをどのように実現していくかという点で意見の対立は深まっている。しかし少なくとも今回のことで、脱原発で失われる発電量のかなりの部分を太陽光発電で埋めることができるという主張に新たな根拠が加わったことになる。

■ピーク時間帯に発電量が最大になるというメリット

 ドイツは現在、年間電力需要の約20%を再生可能エネルギーで賄っており、年間電力需要に太陽光発電が占める割合は4%程度となっている。

 ドイツ西部ミュンスター(Muenster)に本部を置くシンクタンク「国際経済フォーラム再生可能エネルギー」(IWR)は、25~26日のピーク時に太陽光の発電量は原発20基分の出力を上回ったと説明するとともに、電力需要が最大になる時間帯に発電量のピークが来ることの意義は特に大きいと指摘した。IWRのノルベルト・アルノッホ(Norbert Allnoch)所長は、過小評価されがちな点だが太陽光は電力需要が最も大きくなる正午ごろにかなり大きな電力を供給できるので、費用がかかるピーク負荷発電所の使用が減ったり、全く使用されなくなったりしていると語った。

 ドイツの太陽光発電の設備容量は2600万キロワット以上と世界でも群を抜いている。2011年だけでも800万キロワット増え、2012年に入ってからも急ピッチの増設は続いている。
 
 近年ドイツでは固定価格買い取り制度(フィード・イン・タリフ、FIT)によって太陽光発電が急速に普及したが、太陽光設備設置のスピードや、補助金支払いによる政府負担増大への懸念から、議会は関係者の予想を超える大幅な買い取り価格削減に動いている。だがこの削減については政治的な壁があり、現在仲裁委員会が解決に向けた取り組みを進めている。(c)RenewableEnergyWorld.com/Steve Leone/AFPBB News