【4月23日 AFP】銀河系の観測を行う欧州南天天文台(European Southern ObservatoryESO)のチームは18日、暗黒物質(ダークマター)の存在を示す証拠が、太陽の周辺ではなぜか発見できなかったとの観測結果を発表した。

 暗黒物質は宇宙の約4分の1を構成すると考えられているが、肉眼や現在の天体観測技術で直接観測することは不可能で、他の存在に与える重力の影響を調べることによって間接的にしか存在を確認することができない。

 今回、観測チームはチリ南部アタカマ(Atacama)砂漠にあるラ・シーヤ天文台(La Silla Observatory)の2.2メートルの望遠鏡を用いて、天の川銀河(Milky Way)系内の400個以上の恒星の動きをマッピングし、太陽の周りに存在しているだろう暗黒物質の証拠を探した。

 だが、結果は空振りだった。

「太陽の周辺では、われわれが導き出した質量と、恒星やちり・ガスなどの目に見える物質とが、ぴたりと一致した」と、チームを率いたチリ・コンセプシオン大学(University of Concepcion)のクリスティアン・モニ・ビディン(Christian Moni Bidin)氏は声明で説明した。「つまり、予想していた暗黒物質が存在しうる余地は残されていなかった。われわれの計算によれば、数値として(暗黒物質の存在が)はっきりと示されるはずだったが、何も出てこなかった」

 しかし、目に見える物質の影響だけでは銀河系の回転速度の説明ができないことも確かだ、とモニ・ビディン氏は指摘。「したがって、もし暗黒物質が存在しないのだとすれば、そこにあるべき質量を説明するための新しい仮説が必要となる。今回の観測結果は現在支持されているモデルと相反するものだ。暗黒物質をめぐる謎はますます深まってしまった」と述べている。(c)AFP

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