【3月19日 AFP】ドイツ・ベルリン(Berlin)の連邦議会議事堂(Reichstag)で18日に行われた投票で、旧東独出身の人権活動家、ヨアヒム・ガウク(Joachim Gauck)氏(72)が大統領に選出された。旧東独出身の候補者がドイツの大統領になるのは初めて。

 連邦議会議員とその他の要人による投票で、ガウク氏は1232票中991票を獲得し、126票を集めた野党・左派党(Die Linke)が推薦したベアテ・クラースフェルト(Beate Klarsfeld)氏(73)を大差で破った。極右政党が推した候補者の得票は3票だった。

 自身も旧東独出身のアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は、ベルリンの壁崩壊から23年近くを経てドイツが変貌を遂げたことを示す出来事だとして、ガウク氏の勝利を歓迎した。

 ガウク氏は東独を崩壊に導いた平和的な革命に参加し、1990年に東西ドイツが再統一した後は、旧東独の秘密警察の文書を一般市民が閲覧できるようにするために戦い、その後10年間にわたって秘密文書のアーカイブを監督した。

 ドイツで大統領選挙が行われたのはこの3年で3度目。クリスチャン・ウルフ(Christian Wulff)前大統領は汚職疑惑が浮上し、5年間の任期のうち20か月を務めただけで今年2月に辞任した。ウルフ氏の前任だったホルスト・ケーラー(Horst Koehler)元大統領は、ドイツの経済的利益を保護するために軍を利用することを正当化するかのような発言が批判され、2010年5月に辞任していた。

 率直な物言いでも知られ、メルケル首相と同じく熱心なプロテスタントでもあるガウク氏は、苦労して手に入れた自由には重い責任が伴うということを、大統領になってもドイツ国民に訴えて行きたいと語っていた。聴衆を鼓舞する演説の名手として知られる同氏には、新大統領としての全国的な大きな期待が集まっていた。(c)AFP/Deborah Cole

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