【2月21日 AFP】フランス警察は21日、パリ(Paris)や米ワシントンD.C.(Washington D.C.)で実業家2人があっせんした売春婦との乱交パーティーに関与したとして、国際通貨基金(IMF)のドミニク・ストロスカーン(Dominique Strauss-Kahn)前専務理事(62)の身柄を拘束し、取り調べを行っていると発表した。

 ストロスカーン容疑者は当初、参考人として事情聴取を受ける予定だった。だが検察当局は、現在は容疑者として取り調べを行っていると述べた。

 同容疑者は聴取予定時刻の21日午前9時直前に、仏北部リール(Lille)の警察署に出頭した。最長で48時間の取り調べを受ける予定だったが、到着後まもなく、検察当局は「売春あっせんと会社の資金の不正使用」の容疑で取り調べを行うと発表。ストロスカーン容疑者の身柄を拘束し、起訴の可能性もあると述べた。

 検察当局は、パリやワシントンD.C.、その他欧州各国首都のホテルや乱交クラブなどへ同行した女性が金銭で雇われた売春婦だったことを、本人が知っていたかどうかを調べている。

 また、この女性に支払われた報酬は、実業家のうちの1人が重役を務めるフランスの公共事業会社から不正に支出されていたものだった。この点についても、ストロスカーン容疑者が知っていたかどうかを調べている。

■すでに8人を訴追、「カールトン・スキャンダル」

 この「カールトン・スキャンダル」と呼ばれる事件に関連しては、既に仏北部の実業家2人、医療機器業界の実業家でストロスカーン氏の所属するフランス社会党(Socialist Party)とつながりのあるFabrice Paszkowski容疑者、建設大手BTP Eiffage子会社の元重役David Roquet容疑者、それにカールトンホテルの重役3人と地元の有力弁護士やJean-Christophe Lagarde警察署長ら8人がすでに訴追されている。

 最後の乱交パーティーはワシントンD.C.とIMF本部を訪問した昨年5月11~13日の間に行われたとされ、そこでストロスカーン容疑者の大統領選挙立候補について話し合いが行われたとされている。その翌日の14日、ストロスカーン氏はニューヨーク(New York)のホテルで客室係の女性に性的暴行を加えたとして逮捕され、ストロスカーン容疑者の政治キャリアは崩壊した。この件についての裁判は、後に女性の証言の信憑性が揺らぎ、公訴棄却となった。(c)AFP/Sylvain Peuchmaurd

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