【6月30日 AFP】まもなく結婚するモナコ公国のアルベール2世(Prince Albert II)公(53)と南アフリカの元五輪水泳選手シャーリーン・ウィットストック(Charlene Wittstock)さん(33)。2人の結婚式は優雅でロマンチックなものになるとみられていたが、ウィットストックさんが結婚から逃げだそうとしたといううわさが持ち上がっており、式は不安をはらんだものになりそうだ。

 2人は7月1日に法律上の結婚式を行い、翌2日に宗教上の結婚式を行う。モナコでは、アルベール2世公の父親レーニエ3世(Prince Rainier III)公とグレース・ケリー(Grace Kelly)前公妃の1956年の結婚式以来となる華々しいイベントになる予定だが、ウィットストックさんが挙式を取りやめようとしたといううわさが式の準備に暗い影を落としている。

■アルベール2世公の秘密?

 28日の報道によれば、ウィットストックさんがアルベール2世公の私生活に関する秘密を知り、南アに戻ろうとしたが、公室関係者に妨害されモナコにとどまるよう説得されたという。仏誌「L'Express」のウェブサイトは、ウィットストックさんが「結婚相手の私生活が思っていたほど模範的でなかったことを知り」、母国までの片道チケットを買おうとしたが、止められ連れ戻されたと報じた。

 挙式による観光客増加を見込んでいる公室側はこの報道内容を断固否定。「これらのうわさは公室の評判を損なうものでしかなく、結果としてウィットストックさんや結婚式のイメージも大きく傷つける」とコメントした。アルベール2世公とウィットストックさんは突如、挙式会場を訪れ、腕を組んでいる写真を撮影。弁護士らは後で撤回したものの、報道したメディアを名誉毀損で訴えると脅した。

 ウィットストックさんとともに活動していた南アの水泳選手レイク・ニースリング(Ryk Neethling)さんは、「彼女のアシスタントと話したが、どんなうわさにせよ真実ではない。彼女自身にも電話して問題ないのかと聞いたら、すべてうまくいっていると話していた」と語った。

■王位継承問題

 2人の女性との間に子どもがいるが世継ぎのいないアルベール2世公の不安定さをめぐり、モナコの憲法論者らは王位継承が姉のカロリーヌ公女(Princess Caroline)に移ってしまうのではないかと懸念している。

 9世紀にわたってグリマルディ(Grimaldi)家が治めてきたモナコでは、王位は男子継承とされてきた。しかし男子の王位継承者がいない場合、モナコはフランスに併合されることになっていたため、2002年、アルベール2世公に世継ぎができない場合を恐れ、女子への継承を認める憲法改正が行われた。

■結婚にまつわる不幸な歴史

 モナコ公室には結婚にまつわる不幸な歴史がある。女優から公妃へと転身したグレース・ケリーは1982年、自動車事故で死去。カロリーヌ公女は1990年、2人目の夫をモーターボートの事故で亡くしている。

 アルベール2世公の妹ステファニー公女(Princess Stephanie)も恋愛においては不運と言える。29日の仏大衆紙パリジャン(Le Parisien)によれば、同公女は「恋に落ちる度に結婚し」、ボディーガードだった夫には裏切られ離婚したという。(c)AFP