【6月27日 AFP】謎に包まれた土星の小さな衛星エンケラドス(Enceladus、直径504キロ)について、表面の氷の下には塩分を含んだ海が横たわっている可能性があるとする論文が、22日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された。

 エンケラドスは表面が白い氷にすっぽり覆われているが、南極付近には複数の巨大なひび割れが平行に走った「タイガーストライプ」がある。ここから、水蒸気と氷粒子が間欠泉のように噴出していることが明らかになったことから、エンケラドス表面のマントルの下に海がある可能性が指摘されるようになった。ただし、土星は太陽からあまりにも遠く、大気温度がマイナス273度であることから、この説は非現実的であるように思われた。

 今回、欧州宇宙機関(ESA)のプロジェクトチームは、土星探査機カッシーニ(Cassini)が2008~09年に3回最接近した際に行われた実験のデータを分析した。実験では、宇宙ちり分析器(Cosmic Dust Analyser)を秒速18キロで地表面に衝突させた。

 その結果、エンケラドスから遠い粒子は比較的小さくて氷の含有量が少なく、この特徴が土星のEリングの粒子と同じであることが分かった。つまり、Eリングはエンケラドス由来の粒子で形成されている可能性がある。

 これとは対照的に、エンケラドスに近い粒子は大きく、塩分も豊富に含まれていた。タイガーストライプから噴出される物質の99%がこのような塩分を多く含む物質で、Eリングの一部となるよりは地表面に降り注ぐ傾向があった。

■潮汐加熱が海の凍結を防ぐ

 研究者らは、エンケラドスが潮汐加熱と呼ばれる現象により地質学的に活発であると考えている。潮汐加熱とは、土星および近くにある衛星ディオネ(Dione)とヤヌス(Janus)の引力により地面の亀裂が引っ張られたり絞られたりして摩擦熱が生じるもので、この熱がエンケラドスの地殻(岩盤)の約80キロ下に横たわっていると見られる海を温めていると考えられる。

 岩盤の放射性崩壊により生じる熱も、海の凍結を防いでいると考えられる。なお、塩分は、水中で分解された岩に由来している可能性がある。

 エンケラドスのいちばん外側の層が裂けると、内部の水が外気にさらされ、気圧の低下により水蒸気となって噴出し、その一部が塩分を含んだ氷粒子に姿を変えると考えられるという。(c)AFP

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