【6月12日 AFP】国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)のアフリカ東部を管轄する指導者とされ、1998年にケニアとタンザニアで起きた米国大使館爆破事件の黒幕として米中央情報局(CIA)が指名手配していたファズル・アブドラ・モハメド(Fazul Abdullah Muhammad)容疑者(38)が7日、ソマリアの首都モガディシオ(Mogadishu)で遭遇したソマリア暫定政府軍に殺害された。ソマリア当局が11日、発表した。

 1991年にアルカイダに加わったとされるモハメド容疑者は、98年にケニアの首都ナイロビ(Nairobi)とタンザニアの旧首都ダルエスサラーム(Dar es Salaam)でトラックを使った爆弾により224人が死亡した米国大使館爆破事件の立案者とみなされ、米当局が最重要指名手配22人の1人として懸賞金500万ドル(約4億円)をかけて指名手配していた。

 モハメド容疑者ともう1人が乗ったピックアップ・トラックは7日夜、ソマリア暫定府軍の検問を突破しようとした。兵士らが取り囲んだところ反撃しようとしてきた2人を軍が射殺した。もう1人の男はケニアのイスラム原理主義者として知られるモハメド・デレ(Mohammed Dere)容疑者だった。

 トラックには医薬品やノートパソコン、携帯電話などが積まれていた。2人はソマリアのイスラム武装勢力アッシャバブ(Al Shebab)へこれらの荷を届ける途中で道を誤り、ソマリア暫定府軍の管理地域に進入したものとみられている。

 通常のこうした事件後の措置とは異なり、2人の遺体はソマリアの情報機関が回収し、DNA検査など身元確認のため米当局へ引き渡された。ソマリアの国家安全保障局はAFPの取材に対し「同盟国と共に実施したDNA検査の結果、ファズル・アブドラ(・モハメド)であることが確認された」と答えた。

 米オバマ政権の高官はモハメド容疑者の死について「テロリスト・グループ(アルカイダ)のアフリカ東部における最も経験豊富な作戦立案者を消すことができ、彼らの作戦を明らかに後退させた」と述べた。

 モハメド容疑者の母国、コモロのAhamada Abdallah内務相も「人の死は喜ぶべきことではないが、これで安堵できた」と談話を発表した。(c)AFP/Mustafa Haji Abdinur