【4月18日 AFP】国営イラン通信(IRNA)は16日、イランの原子力施設建設計画を妨害することを目的に作られたコンピューターウイルス「スタクスネット(Stuxnet)」の背後に米国とイスラエルがいるとの見解をイランの軍事組織幹部が示したと報じた。

 イランの民間防衛組織のゴラム・レザ・ジャラリ(Gholam Reza Jalali)司令官は「調査と研究の結果、スタクスネットの発生源は米国とイスラエルだった」と述べた。

 スタクスネットは発電所や化学工場、浄水施設で使用されている独シーメンス(Siemens)の特定のシステムを標的にするウイルスで前年6月に初めて公式に明らかにされた。その後数か月間でイランの施設にさまざまなトラブルを起こして打撃を与え、標的とされたブシェール(Bushehr)の原子力発電所の稼働を遅れさせたと言われている。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が、スタクスネットは米国とイスラエルが共同開発したコンピューターウイルスだと報じるなど、米国とイスラエルの関与を伝える報道はあったが、イラン当局が正式に米国とイスラエルの関与を断定したのは今回が初めて。

 スタクスネットはシステムに感染すると情報を収集して、特定のインターネットアドレスに送信する機能があったが、ジャリリ氏は「(情報の)最終目的地はイスラエルと米テキサス(Texas)州だった」と語った。(c)AFP

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