【2月28日 AFP】第83回アカデミー賞(Academy Awards)授賞式が27日、米ハリウッド(Hollywood)で開催され、吃(きつ)音を克服する英国王ジョージ6世(King George VI)を描き12部門にノミネートされていた『英国王のスピーチ(The King's Speech)』が作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞の4冠を達成した。

 渡辺謙(Ken Watanabe)も出演した『インセプション(Inception)』は、撮影賞、視覚効果賞、音響賞(編集&調整)の4部門で受賞。8部門でノミネートされていた『ソーシャル・ネットワーク(The Social Network)』は、編集賞、脚色賞、音楽賞の3部門での受賞にとどまり、主要部門は獲得できなかった。

 オスカー前哨戦のゴールデン・グローブ(Golden Globe)賞では、『ソーシャル・ネットワーク』が作品賞を受賞し、アカデミー賞の展望があやしくなった『英国王』だったが、特殊効果などを用いなくともジョージ6世が吃音を克服しようと努力する姿は観客を魅了したようだ。

 脚本賞を獲得したデヴィッド・サイドラー(David Seidler)は、劇中のジョージ6世に下品な言葉を言わせてしまったことに関し、エリザベス女王(Queen Elizabeth II)に冗談交じりに感謝の意を述べた。「私をロンドン塔(かつて囚人を収容した建物)に閉じ込めなかった女王に感謝したい」

 自らも吃音に苦しんだことのあるサイドラーは、子どもの頃にジョージ6世の有名な第二次世界大戦前夜のラジオ演説を聞いた。それ以来、ジョージ6世はサイドラーにとってのヒーローとなり、この映画を作ることは長年の夢だったという。受賞スピーチでは、「吃音で悩む世界中の人を代表してこの賞を受け取る」と話した。

 主要部門の受賞結果は以下のとおり。

<作品賞>
- 『英国王のスピーチ』

<主演男優賞>
- コリン・ファース--『英国王のスピーチ』

<助演男優賞>
- クリスチャン・ベール(Christian Bale)-- 『ザ・ファイター(The Fighter)』

<主演女優賞>
- ナタリー・ポートマン(Natalie Portman)--『ブラック・スワン(Black Swan)』

<助演女優賞>
- メリッサ・レオ(Melissa Leo)--『ザ・ファイター』

<監督賞>
- トム・フーパー(Tom Hooper)--『英国王のスピーチ』

<アニメーション賞>
- 『トイ・ストーリー3(Toy Story 3)』

<外国語映画賞>
- 『イン・ア・ベター・ワールド(原題、In a Better World)』(デンマーク)

<脚本賞>
- 『英国王のスピーチ』

<脚色賞>
- 『ソーシャル・ネットワーク』

(c)AFP

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