【12月31日 AFP】米国で黒人に対する差別的な重刑の象徴とされている受刑中の姉妹が、腎臓を患っている姉に妹が臓器提供することで、刑期を短縮される見込みとなった。

 スコット姉妹として知られるミシシッピ(Mississippi)州のジェイミー・スコット(Jamie Scott)とグラディス・スコット(Gladys Scott)両受刑者は1993年、10代の少年3人が銃で人を脅し11ドル(現在の為替レートで約900円)を奪った強盗事件の共犯として、2回分の終身刑を言い渡された。

 姉妹は無罪を主張しているが、収監されて16年になり、2014年までは保釈もないとされている。一方、強盗を実行した少年たちは2年で出所した。

 公民権運動で影響力をもつ全米黒人地位向上協会(National Association for the Advancement of Colored PeopleNAACP)は、罪に対して刑が不当に重過ぎるとし、スコット姉妹の釈放を訴えるキャンペーンを行ってきた。

 同州のハーレー・バーバー(Haley Barbour)知事は29日、スコット姉妹を条件付きで釈放すると発表した。声明で同知事は「スコット姉妹の拘束は、治安面からも更生の観点からも、もはや必要ない。さらにジェイミー・スコットの健康状態は、ミシシッピ州の財政に大きな負担を与えている。姉に腎臓を提供することを条件に、グラディス・スコットを釈放する。手術日は至急、決定する」と述べた。バーバー知事はその後、NAACPの会長と会見した。

 グラディス・スコット受刑者は、透析を行っている姉への腎臓提供を申し出ていた。

 NAACPは30日、バーバー知事の判断は「偏見に侵されたわが国の刑事司法制度を象徴する」事件における「公正で勇気ある決定だ」と歓迎する声明を発表した。(c)AFP