【10月20日 AFP】米カリフォルニア(California)州ロサンゼルス(Los Angeles)の連邦地裁は19日、先に同地裁が米政府に命じた同性愛者の軍務禁止規定の執行停止を停止するよう求めていた米政府の訴えを退けた。

 これまで米軍は同性愛者であることを公言しなければ軍務に就くことを黙認する「言わない、聞かない(Don't Ask Don't Tell)」政策をとってきたが、ロサンゼルス連邦地裁は12日、この規定は米国憲法に反するとの判断を下し、米政府に同規定の即時執行停止を命じていた。

 米政府は同性愛者の軍務を認めれば軍の有事対応能力や部隊の団結に影響するなどとして裁判所命令の停止を求めていたが、12日の命令も出した同地裁のバージニア・フィリップ(Virginia Phillips)判事はこれを退けた。

 これを受け米国防総省の報道官は同日、米軍は米国史上初めて同性愛者の入隊を認める準備ができていると語り、採用担当者に同性愛者の入隊手続きを進めるとともに、地裁の決定は上級審で覆される可能性もあり、将来的に「言わない、聞かない」政策が復活する可能性があることを入隊希望者に説明するよう指示したと明らかにした。

 オバマ政権は、1年間にわたって同性愛規定の見直しが米軍の士気や効率、部隊の団結などに与える影響を調査しており、その報告書が12月1日に公表される予定だ。

 米国が正式に同性愛者の入隊を認めれば、すでに同様の措置を取っている英国やイスラエルなどに続くことになる。英国やイスラエルでは同性愛者が軍務に就いたことによる深刻な問題は報告されていない。(c)AFP