【8月11日 AFP】英国人男性が9日、世界で初めて南米アマゾン(Amazon)川の源流から河口までの約6500キロを約2年4か月かけて踏破した。この男性の広報担当者が9日発表した。

 男性は、イングランド中部のレスターシャー(Leicestershire)州出身の元兵士、エド・スタフォード(Ed Stafford)さん(34)。スタフォードさんは2008年4月2日、ペルー南部のミスミ山(Nevado Mismi)を出発し、ブラジル沿岸を目指していた。

 スタフォードさんはマムシや電気ウナギ、アナコンダ、サソリを避けながら冒険を続けた。弓矢を振りかざす先住民から追いかけられたり、監禁されたりしたほか、2度も殺人容疑をかけられた。冒険中には米や豆のほかピラニアも食べ、「ハチには数百回、蚊には5万回」刺されたという。最終的な歩行距離は約9650キロに及んだ。

 スタフォードさんは米マイクロブログサービス「ツイッター(Twitter)」のブログを更新していた。最後に「任務完了」と書き込み、「(冒険をともにした)チョーと私は、28か月かけてアマゾンを歩ききった。可能なのは分かっていた」と書き込んだ。

■アマゾンの生活を知ってほしい

 チョーさんとは、5か月間、スタフォードさんと行動を共にしたペルー人森林作業員のガディエル・チョー・サンチェス・リベラ(Gadiel Cho Sanchez Rivera)さんのこと。

 チョーさんは、「このクレージーな男が通麻薬密売人や敵対的な部族がいる非常に危険な地域を通り抜けるのを助ける責任があると思ったので、エドと一緒に行くことにした。じきにシンプルな生活が楽しくなり、エドと私は親友になった。すぐに、エドと最後まで歩いてこの旅を達成したいと思った」と振り返る。

 しかしスタフォードさんは8日、疲労のため、ゴールのビーチまでわずか85キロに迫った地点で倒れてしまった。

「歩いているとまた眠くなった。車の運転中に眠りそうになって、ハッとしたときのような感じだ。道の脇で横になると、こんどは猛烈にかゆくなった。めちゃくちゃにかきむしったら余計ひどくなった。全身が湿疹(しっしん)だらけになり、歩くこともじっと横たわっていることもできなくなった。ここまでたどり着いたところで、体のシステムがシャットダウンしようとしたんじゃないかと思う。最終日はとても長い1日になりそうだ」とスタフォードさんはブログに書きこんだ。

「どれほど多くのことを他の人々に頼らねばならなかったかと思うと、身の引き締まる思いだ。応援メッセージと、アマゾンの生活を広く世界に知ってもらいたいという願いで冒険を続けることができた」

 今回の経験を生かして、スタフォードさんは作家や講演活動を始めたいという。(c)AFP

【参考】エド・スタフォードさんのホームページ(英語)