【4月12日 AFP】処刑後のイエス・キリスト(Jesus Christ)の遺体を包んだとされる「トリノの聖骸布(Shroud of Turin)」が10日、イタリアのトリノ(Turin)で10年ぶりに公開された。

 トリノの聖骸布は、キリスト教世界で最も神聖視される遺物の1つだが、謎に包まれており、真贋をめぐっては論争が続いている。6週間にわたって公開され、およそ200万人が閲覧に訪れる見込み。

 多数の訪問客が見込まれるトリノでは、治安対策や群衆の誘導などを含む詳細な準備が行われた。当局はトリノの大聖堂周辺の広い地域を封鎖し、ボランティア約4000人が動員された。

 トリノの聖骸布は幅1.1メートル長さ4.4メートルで、キリストの遺体、特に顔を覆ったとされている。2002年には、修復作業が行われている。

 14世紀半ばにパリ(Paris)南東の郊外トロワ(Troyes)で発見され、その後、1898年、アマチュアカメラマンのセコンド・ピア(Secondo Pia)氏が撮影した写真のネガに人物らしき像が発見されたことをきっかけに、国際的に注目された。

 誰1人として、布に映し出された図像に対する科学的な説明を与えることができず、また、その図像を再現することもできなかった。

 現在は右上部の隅が欠けているが、これは1988年に放射性炭素年代測定法を4か所の研究所で実施した際に切り取られた部分。測定の結果、布の年代が中世時代のおよそ1260~1390年ごろのものと鑑定されたが、その後その鑑定に疑問を呈する声も上がっている。

 トリノの大聖堂では、普段は実物大のレプリカを公開しており、前回の公開は2000年だった。

 ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)も5月2日に訪問する予定。ベネディクト16世は、「謎に包まれた表情をみつめることのできる素晴らしい機会になる。その表情は、人の心に無言で語りかけ、神の顔をそこに見出すように誘いかける」と語った。

 トリノの聖骸布の真贋について、これまでローマ法王庁(バチカン)が判断を下したことはない。(c)AFP/Gina Doggett