【5月9日 AFP】日本のアダルトゲーム・メーカー、イリュージョン(Illusion)は8日、女性に対する性的暴力をシミュレーションする同メーカーのアダルトPCゲーム「レイプレイ(Rapelay)」に対し、米国で起きている抗議キャンペーンについて、「国内でしか販売していない」ゲームであると述べ、海外の抗議キャンペーンに対してはコメントできないと語った。

 ニューヨーク(New York)を拠点とする女性権利団体「Equality Now」は今週、「レイプ・シミュレーションゲームと、日本において性的暴力が普通になっていることに対する」抗議キャンペーンを開始した。

 このキャンペーンは、麻生太郎(Taro Aso)首相とゲームメーカーに対し抗議文を送るよう呼びかけるもので、このゲーム「レイプレイ」が、日本が1985年に批准した女性差別撤廃条約(Convention on the Elimination of All Forms of Discrimination against Women)に違反しているとして批判している。

 ゲームを開発したイリュージョン(本社横浜)は、この米国でのキャンペーンについて「困惑している」と述べ、国内市場向けに販売しているゲームで日本の法律に従っているとした上で、海外で販売していない以上、(海外での抗議キャンペーンについて)コメントすることはできないと語った。

 Equality Nowがウェブサイトで発表した声明によると、PCゲーム「レイプレイ」は、プレーヤーが性的暴力を行ってポイントを獲得するという内容。通勤電車の中の女性にストーカー行為をはたらいたり、少女やその母親をレイプしたり、女性に中絶を強要したりするという。

 児童ポルノの主要な製造拠点としてたびたび非難を受けてきた日本は、1999年に児童ポルノ禁止法を制定し、18歳未満の者が関与する、性欲を興奮させる、または刺激するビデオや写真、その他の素材の製造、配布、商業利用を禁じた。

 しかしながら、同法では、これらの素材物を所有することは犯罪化されていない。また、海外では「Hentai」との分類で知られる児童ポルノのアニメやコンピューターグラフィックス(CG)などは対象外とされた。

 米インターネット小売大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)は2月、抗議を受けて「レイプレイ」を米国アマゾンのサイトから削除した。しかし、同ゲームのプレイ動画は今でも、人気動画共有サイトなどで観ることができる。

 日本ユニセフ協会(Japan Committee for UNICEF)の広報担当者は、日本という「抜け穴」が、児童ポルノ撲滅に向けた国際的な取り組みを妨害していると述べる。

 同広報担当者は、インターネットでつながったグローバル化された世界では、たったひとつの抜け穴がすべての規制を台無しにすると述べ、世界のすう勢は、「バーチャルなイメージ」を掲載したウェブサイトにアクセスして閲覧することさえも禁止しようという流れであると語った。(c)AFP