【3月24日 AFP】国民の幸福感の指標、「国民総幸福量(Gross National HappinessGNH)」を政策の指標としているブータンは、立憲君主制への移行を控え、グローバル化や物質主義の拡大といった要因とも絡んで、GNHを数値化する作業を進めている。

 国民総幸福量を提案したのは同国のジグミ・シンゲ・ワンチュク(Jigme Singye Wangchuck)元国王で、国の豊かさを測る上でこの指標は国民総生産(GNP)よりも重要であると主張。今やブータンの発展を測る指標となっている。

 ブータン計画委員会は今年に入って「国民総幸福量委員会」に改称され、GNHを数値化する作業を行っている。委員会はすでに1000人近くに調査を実施し、幸福度を計る項目をリストアップした。中でも、仏教が重視する心の安らぎのほか、健康、教育、グッドガバナンス(良い統治)、生活水準、共同体の活力や生態系の多様性といった項目に重きが置かれている。

 委員長のKarma Tshiteem氏は、GNHのコンセプトを「単なる経済成長ではなく、国民が望むものが成長に反映されているかどうかを示すもの」と説明した。調査に参加したブータン・スタディー・センターのPhuntsho Rapten氏は、GNHを数値化する主な目的は「政府の諸政策がGNHのコンセプトにどの程度合致しているかを評価するため」だとしている。

 すでに行っている調査によれば、人口約67万人のブータン国民のうち68%が幸福であると感じている。幸福を感じない国民への対策として、今後10年間で貧困層縮小に向けた政策を実施、1日1ドル以下で生活する貧困層を現在の25%から15%に削減したい考えだという。

 24日には絶対君主制から立憲君主制への移行の総仕上げとなる初の国民議会(下院)選挙が行われた。選挙に参加した国民民主党(People’s Democratic PartyPDP)は、今後もGNHを政策の指標にしていくことを明言している。(c)AFP/Parul Gupta