【9月18日 AFP】フランスのベルナール・クシュネル(Bernard Kouchner)外相は18日、ロシアの首都モスクワ(Moscow)でセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相と会談した。これに先立ち、ロシア政府がイランへの軍事攻撃は「悲惨な結果」をもたらすとの見方を示していることから、イランの核開発に対するより強硬な姿勢をロシアに要請したとみられる。

 両外相は21日の国連安全保障理事会(UN Security Council)の会合を前に会談。21日の安保理会合では、イランのウラン濃縮活動に対し新たな制裁が決定される可能性がある。冒頭でクシュネル外相はラブロフ外相に、「われわれの2国間関係はすばらしいが、さらに取り組むべき課題が山積している」と語った。

 クシュネル外相は16日、テレビのインタビューで「われわれは最悪の事態、つまり戦争に備えなければならない」と述べ、イランに対する国際的圧力を高めている。

 これに対し、イラン初の原子力発電所を南部ブシェール(Bushehr)に建設中のロシアは、イランへの武力攻撃に改めて警告を発した。

 両外相の会談の数時間前に発行されたロシアの日刊紙Vremya Novosteiに掲載されたインタビューで、ロシアのアレクサンドル・ロシュコフ(Alexander Losyukov)外務次官は「イランへの武力攻撃は悲惨な結果にたどり着く、まずい行動だ」とフランスをけん制している。

 安保理会合を前に、イランの核開発に対する圧力は加速している。

 フランスのフランソワ・フィヨン(Francois Fillon)首相は17日、イランとの緊張状態は「極度」に高まっていると述べた。ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領も、核問題が解決されなければ、イランは武力攻撃を受ける危険性にさらされると警告した。

 米国は、イランがウラン濃縮の停止を求める安保理決議を無視していることについて、武力制裁を加える可能性を排除していない。ロバート・ゲーツ(Robert Gates)国防長官は16日、「あらゆる選択肢を検討している」と述べた。

 一方イランは、米国による核兵器開発の嫌疑を強く否定、核開発は発電のためのものだと主張している。また、自ら攻撃を開始することは絶対にないとしながら、米国がイラク領内に攻撃を仕掛ければ応戦する構えを見せている。

 ロシュコフ外務次官は軍事攻撃の可能性を視野に、紛争が発生した場合、ブシェールの原子力発電所建設現場から核専門家を避難させる計画があることを明らかにした。Vremya Novostei紙のインタビューでも、武力行使は「中東情勢を悪化させるだけ」だと強調し、「イスラム世界から大いに否定的な反応を受ける」と警告。さらに、「もちろん、米国がどう考えているかは分からないが、外交的にも政治的にも大きな失策となるだろう」と付け加えている。

 クシュネル外相はラブロフ外相との会談の後、19日に米国に向かい、コンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)国務長官とイラン核問題について話し合う。(c)AFP/Karim Talbi