【6月23日 AFP】フィリピンのルソン(Luzon)島南部、マニラから600キロ離れた町ドンソル(Donsol)沖合で、ジンベイザメ(whale shark)のウォッチングが話題を呼んでいる。

 巨大なジンベイザメは透明度の低い水中を悠々と泳ぎ、背とヒレに特徴的な黄白色の斑点を持つ姿が水面近くに現れると、カヌーで待っていた観光客は歓声を上げ自分たちも水中に入る用意を始める。

 観光客はジンベイザメのために十分なスペースを確保しながら1~2メートルの距離まで近づいて泳ぐことができる。

 ジンベイザメは通学用バスほどの大きさまで成長し、体重は30トンに達するが、性格はおとなしい。

 海洋生物学者でフィリピンのジンベイザメ専門家として著名なAngela Quiros氏はAFPの取材に対し、「方向転換をすることもあるので、あまり近寄き過ぎないほうがいい」と忠告する。

 ドンソル沖で1月から6月にかけ大量に発生するプランクトンを求めジンベイザメが回遊してくることは現地の住人には古くから知られていた。

 ジンベイザメはかつては食用として捕獲され、東南アジアではその肉質から「豆腐ザメ」として知られてきたが、現在は保護の対象となっている。

 マニラから遠く離れたひなびた田舎町だったドンソルは、一転してエコツーリズムの中心地となった。

 2006年にドンソルを訪れた観光客の数は1万1000人に上り、1998年の900人から大幅に伸びた。それに伴う経済効果は1998年の45万4875ペソ(約120万円)から、2006年には1200万ペソ(約3200万円)まで上昇した。(c)AFP/Karl Wilson