【ティティアナ/ソロモン諸島 5日 AFP】ギゾ(Gizo)島の漁村、ティティアナ(Titiana)に暮らしていた住民たちは、2日朝に発生したソロモン諸島沖地震と津波以来、再び地震や津波が襲ってくるのではないかという恐怖におびえている。

■家族を失った人々は失意の中で

 ティティアナでは600人が暮らしていたが、村は地震で崩壊し今はトタン板や瓦礫が散乱する荒れ地と化した。ティティアナに住むヘンドリックさんは孫娘と自宅を失った。それ以来決して海岸には近寄らないという。

 「子どもたちが駆け回れるように、この場所を片付けなければ」と、瓦礫の中から家財道具を拾い集めながらヘンドリックさんは言う。しかし、津波の犠牲となった孫娘の名前は、辛すぎて口にすることもできない。

 「まだ、わずか1歳の初孫だったのに、津波にさらわれてしまった」とAFP記者に語る。「他にも多くの人々が津波にさらわれた。行方のわからない人もいれば、遺体で発見された人もいる」

 地震・津波によるこれまでの死者は少なくとも30人。5400人が家を失ったと見られている。この村での公式な犠牲者数は3人だが、ヘンドリックさんによれば8人が行方不明のままだという。遺体捜索のための瓦礫の撤去作業が行われている。

■「同じ場所には住めない」、恐怖を語る住人

 現在、村人らは道路脇の避難所で生活しているが、永住できる地が必要だ。ヘンドリックさんの隣人のKomoe Tamaさんは、完全に破壊されたティティアナは、別の場所に再建すべきだと主張する。

 Tamaさんは「元の場所には怖くて誰も戻らない。なぜ我々がこのような悲惨な目にあうのかわからない」と嘆く。

 また、「これからも元の場所で漁や仕事は続けるだろう。でも、あんな恐ろしい地震があった場所で、子どもたちを寝かせたり学校に通わせるなどできない」と語っていた。

 写真はティティアナで5日、津波の犠牲となった6歳の男児の棺を埋葬する人々。(c)AFP / William WEST