犯人撮影の米記者銃殺映像、紙面掲載で報道倫理めぐる議論沸騰
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■「常軌を逸した」報道
プロフェッショナル・ジャーナリスト協会(Society of Professional Journalists)で倫理委員会の委員長を務めるアンドリュー・シーマン(Andrew Seaman)氏は、「ニューヨーク・デーリー・ニューズはこれを見たことがないようなので」とのコメントを添えて、同協会の倫理規定へのリンクをツイッターに投稿した
同規定では、ジャーナリストは「一般市民の情報の必要性と、それが生む可能性のある害や不快感との間のバランスをとるべき」で、「たとえ他者がそうしたとしても、悪質な好奇心に迎合するべきではない」とされている。
ニュースブログ「アイメディアエシックス(iMediaEthics)」は、ニューヨーク・デーリー・ニューズ紙の第1面を「倫理と品位の一線を越えた」と指摘。「パーカーさんの人生の最後の瞬間を犯人の視点から撮影した写真を選ぶという行為は、明らかに常軌を逸している」と批判した。
殺人犯が撮影した動画の使用をめぐっては、テレビ局も同様の問題に直面している。動画は、米CNNテレビや英国放送協会(BBC)などが放送した。
米コロンビア大学(Columbia University)のトウ・センター・フォー・デジタルジャーナリズム(Tow Center for Digital Journalism)のクレア・ウォードル(Claire Wardle)研究部長は、数年前から斬首などの暴力的な映像が拡散するようになったことから、ニュース編集者らは暴力的な映像に鈍感になっているのかもしれないと指摘しつつ、それでも主流メディアには責任があるとしている。
「報道機関がこうした映像を大々的に使用した場合、それは不安定な状態にある人々に対し、もし似たような犯罪に走れば『あなたも新聞の1面に載る』、と伝えることになる」(ウォードル氏)