■ガリアーノは本格復帰を果たすのか

 ガリアーノの禊が済んだのは昨年のこと。「メゾン マルジェラ」を傘下に置くOTBグループのレンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)会長が、彼を指名した。 

 ロッソは今回のショーについて、「信じられないほどの興奮」を感じたと語り、次はパリで開催することを約束した。「泣きそうになった。ドレスは美しかったし、彼がやったことは素晴らしい」と、ロッソ。「ロンドンでキャリアをスタートしたジョンは、『ここからやり直したい』と語りました」

 ベルギーのデザイナー、マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)が創設した同ブランドにとって、ガリアーノの起用は既定路線ではなかった。「マルジェラの服は、日常で着られることが重視され、折り目や裏地といった細かい部分はあまり注視されません。一方ガリアーノは服の壮麗さや豪華さを崇拝する人物です」と、ファッション史を研究するリディア・カミチス(Lydia Kamitsis)はAFPに語った。

 それでも共通する部分はあったと、彼女は言う。「彼らは、テクニックや、手作業でものをつくることの大切さ、細部への配慮、歴史の分析といった面では同じ見方を持っています」

 今回のショーはガリアーノの帰還を意味するのだろうか?

 「ファッション界では、かつて嫌っていたものを好きになり、かつて好んでいたものを嫌いになり、生み出すのと同じくらい抹殺する──とてもひねくれてますし、気まぐれな業界です」と、カチミスは答えた。 (c)AFP/Anne-Laure MONDESERT