【10月6日 AFP】仏パリ(Paris)に拠点を置く「メゾン マルタン マルジェラ(Maison Martin Margiela)」は6日、英デザイナーのジョン・ガリアーノ(John Galliano)氏(53)が、同ブランドのクリエイティブ・ディレクターを引き継ぐと発表した。2011年にパリで酒に酔い反ユダヤ発言をしたとして、それまで15年務めてきた「クリスチャン ディオール(Christian Dior)」のクリエイティブ・ディレクターを解任されたガリアーノ氏にとっては、閉ざされたキャリアの再起がかかる。

「マルジェラ(Margiela)」を傘下に置くOTBグループのレンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)代表は、米ファッション情報紙「WWD」に対し、ガリアーノと働くことについて喜びを語り「マルジェラは、新たなカリスマ性、創造的な魂を迎える準備ができている。ジョン・ガリアーノは紛れもなく史上最も偉大な才能の1人。ファッション界で常に挑戦し、革新をもたらしてきたメゾンのための、ユニークで並外れたデザイナーだ。彼にしか生み出せないファッション・ドリームを、再び創造してくれることを楽しみにしている」と述べた。

 クリスチャン・ディオールで15年間を過ごし、ファッションでも私生活でも異彩を放っていたガリアーノ氏は、同世代の中で最も優れたファッション・デザイナーとして広く認められていたが、2011年2月に仏パリの歴史的なユダヤ人地区にあるバーで、居合わせた人たちに反ユダヤ的な侮辱発言を浴びせている様子を携帯電話で撮影された。本人は当時、酒とドラッグに酔っていたと釈明している。

 このときの動画がきっかけで同年3月に、ディオールのクリエイティブ・ディレクターを解任された。さらに2010年の反ユダヤ発言も含めて、11年9月に有罪判決を科されたが、反省の意を示したため執行猶予付きの罰金を科された。これ以降、ガリアーノ氏はめったに公の場に姿を見せていなかった。(c)AFP/Helen ROWE