<菅付雅信:新連載「ライフスタイル・フォー・セール」>第十三回:中国のライフスタイル格差を捉える写真家が見つめる消費欲の行方
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■インターネットの普及がブランド熱を煽る
またホァンさんは中国のIT化も国民の生活水準の向上に一役買っていると指摘する。2013年に国務院が発表した「ブロードバンド中国」戦略により情報インフラの整備は加速し、今や都市部での光ファイバー普及だけではなく、農村地域にまでブロードバンド構築の波が広がっている。
「例えば3年前のチベットだったら、まだ彼らは経済についてあまり関心がなかったんです。でも、この数年間で彼らの経済意識はすごく高まりました。それは情報環境が変わったからです。以前は情報があまり流通しなかったのが、今はインターネットのおかげで情報をもっと簡単に手に入れることができるようになりました。世界には様々なブランドの服や靴があること、更にはそれがとてもセンスが良くて使いやすいものなのだということも知ってしまう。そうなると人々はそれらを欲しくなるわけです。新たな情報機器の普及により、彼らのライフスタイルは劇的に変わったと思います。今やほとんどの貧しい家庭も携帯を持つようになり、外と連絡をとる手段が簡単になりました。しかし、政府の規制により、GoogleやFacebookは使えません。ただ国内向けのTaoBaoのようなオンラインショップは自由に使えます。ライフスタイルに関しては、言論統制ほど厳しくはないんです。そもそも多くの人はそこに載っている情報が正しいかどうかという判断さえできません。ましてや他の国が中国のことをなんて言っているか知らないだろうし、人々の多くは報道されるニュースが正しいかどうかの判断はできないんです。特に政治に関してはそう。大抵の人々は、ただ良いものを食べ、良い服を着て、良い暮らしをすることだけを望んでいるんです」
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