■装飾的でファンシーなラグジュアリーの終焉

 「来てくれるお客様には商品を大事に使っていただきたいと思って販売していますし、実際大切に使っていただけていると思います。僕たちのやり方は、使い捨てや、ファスト・ファッションの時代の流れとは対極にあります。お客様のタイプとしては、ライフスタイルに色んな意味で余裕があって、日々を楽しんでいる方が多いです。アカデミックで暮らしの民度が高い人たち。そうした人はライフスタイルの中で、例えば、昔懐かしいモップのような商品を楽しめたりするんです。そう思えない人にはゴミ同然のものでも、暮らしの民度が高ければ、日常のなかにその商品をおとしこめるのだと思います」

 日常的なものにこだわる価値を見出す人々を見ている中で、北舘さんは都市生活者が目指すラグジュアリーな生活様式の方向性の変化を感じるという。

 「世界基準で見ると、僕らが羨ましく思う生活をしている人というのはこうした極めて日常的なものごとにこだわった生活をしているし、こうしたライフスタイルがラグジュアリーの新しい到達点なのではないかと思います。世界の主要都市を見ても、装飾的でファンシーなラグジュアリーが終焉しているというか、人々がそうしたものに疲弊している印象があります。ただ、一方でそれは都会の生活に限ってのことだとも感じます。僕としては、ここに置いてある商品が田舎にそれほど必要だとは思わないんです。どちらかというと都市型のライフスタイルに当てはまるんですね」

 また、テイストメーカーズの最大の特徴とも言えるのが、お店で定期的に開催される食に関連したイベントだ。朝食をテーマに出張コーヒーやブレックファストプレートを味わう企画や、生産者を招いてソーセージやパテなどの加工肉の試食会や販売など、毎回好評だという。

 「食には元々興味がありました。世界中色んなところを訪ねて、色んなものを食べる中で、もっとカジュアルなところで皆と楽しめるコンテンツがあったらいいと思うようになったのです。そこで、はじめに『The BREAKFAST CLUB」』というものを開催しました。それから毎回違うコンセプトを立てて続けていて、今に至ります。僕らが飲食店をすべきかどうかという問題に関しては、また少しポイントがずれてくると思うので、見極めなければいけないところだと思います。ただ、ライフスタイルという生活のなかの一環としての食を考えてみれば、まだやるべきことは多くあるはずです」