■「生の情報」は“フォロー”できる

 インターネットのソーシャルメディアとコマースの融合を指す言葉として、「ソーシャル・コマース」という言葉がメディアでよく語られるようになっている。「WEAR」をはじめ、新しい買い物の仕方としてSNS機能を持たせたソーシャル・コマースは次々とニュー・フェイスが登場している。先ごろ日本に上陸したアメリカの「Fancy」は、レディー・ガガやマーク・ザッカーバーグなど多くの有名人も愛用していることが話題になった。日本でも、「Sumally」や「origami」など、若手企業家によるソーシャル・コマースの試みが期待されている。

 しかし一方で、既存の店舗を持つセレクトショップもオンライン上で様々な取り組みを行っている。例えば、セレクトショップの先駆けであるパリのコレットは、ホームページだけでなく、多くのSNSを使っている。フェイスブックページで取り扱いブランドや商品、イベントの紹介。インスタグラムでは、撮影にこだわった商品写真。他にも、ピンタレスト、ツイッター、タンブラー等、あらゆるツールを使って“フォロー”できるようになっている。あるいは、お店のオーナーの人物像はもちろん、そこで誰が何を買っているのか、交流関係までも知ることができてしまう。もちろん核にあるのはコレットというブランドであり、そこから生まれる「生の情報」に人は触れることが可能になっている。実は、オンライン上の情報量と質に力を入れ、プレゼンテーションを工夫しうまく利用しているのは、このように本来の店舗機能を拡張するようなお店であることが多い。