【2月8日 senken h】バランス感覚の大切さというのは、さまざまな事柄に当てはまるキーワード。とくに映画の配役に至っては、その作品の魅力を大きく左右するのではないかと常々思う。そこで名優から注目の新鋭まで、絶妙なキャスティングに注目の3作をピックアップ。
　
■『横道世之介』
　多彩な役柄を演じきる若手として、熱い視線が注がれる高良健吾。彼が演じる太陽のような温かさとちょっとコミカルな抜け感が、周囲をほのぼのと包み込む主人公兼作品名の「横道世之介」。ヒロインに吉高由里子を伴い、ワインとチーズのマリアージュのような味わいの余韻に浸れそう。どことなく漂うノスタルジックな風景と、余貴美子ほか脇を固めるベテラン俳優たちの名演が物語に奥行きを加味。中学時代からの友人という監督の沖田修一と、脚本の前田司郎のチームプレーも光っている。

■『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』
　旅は人生のスパイスとも言い得るが、それが異国への転居ともなると話は違う。インドのラグジュアリー・リゾートホテルに暮らすという、夢のようなイントロで幕を開ける「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」。それぞれ異なるバックグラウンドと思いを胸に、イギリスから旅立つ熟年男女7人。彼らを待ち受けていたのはサプライズの連続だった。果たして新たな未来の扉をオープンすることができるのか…。ジュディ・デンチをはじめイギリスの名優たちが勢ぞろいする中、「スラムドッグ$ミリオネア」で主人公を演じた若手俳優も好演。

■『世界にひとつのプレイブック』
　アメフトのチームが各々持っている作戦図がネーミングの由来という「世界にひとつのプレイブック」。結婚にピリオドを余儀なくされ、ココロのバランスを失った男（ブラッドリー・クーパー）と女（ジェニファー・ローレンス）が出会い、反発し合いながらもダンスコンテスト出場という目標を共有することになる。主演2人の笑いと胸キュンの程良いバランス感あふれる熱演が、世界の賞レースで奮闘中。撮影現場でのアドリブ歓迎で進行したデヴィッド・O・ラッセル監督と、ロバート・デ・二―ロの演技への情熱は、原作とは異なる人物像を創り上げたほど。(c)senken h