【5月15日 AFP】女子テニス選手のジュスティーヌ・エナン(Justine Henin、ベルギー)が14日、現役引退を発表した。

 ベルギーのリムレット(Limelette)で会見を行ったエナンは、「私は現役生活に終止符を打つことを決めました」と話し、現役引退を表明した。

 6月1日に26歳の誕生日を迎えるエナンは、5月12日に発表された世界ランクで117週連続1位を記録するも、疲労を理由に現在ローマで行われているイタリア国際2008(Internazionali BNL d’Italia 2008)を欠場していた。

 集まった報道陣の拍手で会見場へ迎え入れられたエナンは「私の人生のビックデーだわ。引退が多くの人々に驚きとショックを与えたことは分かっています。だけど引退は熟慮した末の決断です」と2007年末から引退を考え始めていたことを明らかにし、長年コーチを務めてきたカルロス・ロドリゲス(Carlos Rodriguez)氏の横で涙をこらえながら「素晴らしい冒険の終わりであり、私が5歳の時から見た夢の終わりでもあります」と話した。

 1999年にWTAツアーに参戦して以降、全仏オープン・テニス3連覇を達成するなどグランドスラム通算7勝を記録し、生涯獲得賞金は約2000万ドル(約21億円)に達しているエナンは、前週に行われたカタール・テレコム・ドイツ・オープン(Qatar Telecom German Open 2008)シングルス3回戦でロシアのディナラ・サフィナ(Dinara Safina)に敗れるなど、2008シーズンはこれまでに4敗を喫している。

 史上最高の選手の一人に数えられているエナンは、クリス・エバート・ロイド(Chris Evert-Lloyd)氏以来となる女子テニス最高のオールラウンドプレーヤーと考えられており、片手打ちのバックハンドを武器に家庭問題や小柄な体格によるハンデを乗り越えて頂点に立った。

 エナンの引退発表を受けて女子テニス協会(Women’s Tennis Association、WTA)のラリー・スコット(Larry Scott)最高経営責任者(CEO)は、「勝利への意思と何にも劣らない闘争心で体格差を補った彼女は偉大なチャンピオンの一人として記憶されるだろう。スポーツマンが頂点に立ったまま引退することは珍しいことだが、彼女にとって最善の決断だったのだろう。彼女がグランドスラムタイトルを7度獲得し、世界ランク1位のままWTAツアーのキャリアを終えたことは歴史に刻まれている」とコメントした。

 ベルギー五輪委員会(Belgium Olympic Committee)は、エナンが北京五輪に出場しないことに失望の意をあらわにしている。(c)AFP/Benoit Noel