【5月23日 AFP】イスラエルの極右イタマル・ベングビール(Itamar Ben Gvir)国家治安相は23日、東エルサレム(East Jerusalem)にあるユダヤ教とイスラム教の聖地「神殿の丘(Temple Mount)」を訪れ、パレスチナを国家承認すると表明したノルウェー、アイルランド、スペインの欧州3か国を非難した。

 ベングビール氏が神殿の丘を訪問したのは、昨年10月7日にイスラム組織ハマス(Hamas)がイスラエルを奇襲して以来初めて。神殿の丘には、イスラム教の聖地アルアクサ・モスク(Al-Aqsa Mosque)もある。

 ベングビール氏は神殿の丘で撮影した動画で、「きょう、パレスチナ国家を承認した国々は、人殺しと侵略者に報奨を与えている。言っておこう。われわれはパレスチナ国家の宣言さえ許さない」と述べた。

 ユダヤ教とイスラム教の双方にとって神聖なこの丘は、1967年にイスラエルが併合した東エルサレムの旧市街にあり、長年イスラエルとパレスチナの紛争の矢面に立ってきた。

 現在、神殿の丘はヨルダン政府が管理しているが、出入り口はイスラエル治安部隊が管理している。敷地内での礼拝が認められているのはイスラム教徒のみで、非イスラム教徒は特定の時間帯の訪問のみを認められている。だが近年、これに従わないイスラエルのナショナリストが増えている。

 神殿の丘をたびたび訪問してきたベングビール氏は今回、「ユダヤ人にとって最も神聖なこの場所は、イスラエル国家にのみ帰属する」と改めて強調した。

 ハマス指導部は「アルアクサの洪水」と呼ぶ昨年10月7日の攻撃の動機の一つとして、ベングビール氏の神殿の丘訪問を挙げている。

 イスラエルの極右政党「ユダヤの力」の党首を務めるベングビール氏は若い頃に50回以上、暴力やヘイトスピーチ扇動の嫌疑をかけられている。2007年にはテロ組織に対する支援と人種差別扇動の罪で有罪判決を受けた。(c)AFP