【ニューヨーク/米国 4日 AFP】潘基文(パン・キムン、Ban Ki-Moon)新国連事務総長は3日、ルイーズ・アルブール(Louise Arbour)国連人権高等弁務官がサダム・フセイン(Saddam Hussein)イラク元大統領の側近2人の処刑中止の要請したことに関し、これを支持する意向を表明した。ミシェル・モンタス(Michele Montas)国連報道官が伝えた。

 2006年12月30日のフセイン元大統領の処刑について、潘事務総長は2日、非難も支持もせず、「死刑の問題はそれぞれの加盟国が決めることだ」と述べていた。

 ところが3日、同報道官は「潘事務総長は世界人権宣言が第3条で掲げている理念に共感しており、アルブール人権高等弁務官が要請した処刑中止を強く支持する」とのコメントを発表した。世界人権宣言第3条には、「すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する」と定められている。

 イラク政府当局はこのほど、イラク高等法廷が下した判決に基づき、フセイン元大統領の異父弟のバルザン・イブラヒム(Barzan Ibrahim al-Tikriti)元国家情報局長官と、アワド・ハミド・バンダル(Awad Hamed al-Bandar)元革命裁判所長を4日に絞首刑にするとの決定を発表。これを受けて、アルブール人権高等弁務官は3日、処刑の実施を中止するよう要請していた。

 写真は3日、国連本部に到着し記者会見に臨む潘事務総長。(c)AFP/DON EMMERT