【7月16日 AFP】フランス・パリ市内で6日から11日まで14/15年秋冬パリ・オートクチュールコレクションが開催された。

■「ひげ面の女装歌手」も登場「ジャンポール・ゴルチエ」

 フランス・パリ(Paris)で9日に発表された「ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)」の14/15年秋冬オートクチュールコレクションのフィナーレを飾ったのは、欧州国別対抗歌謡祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト(Eurovision Song Contest)」優勝者のドラァグクイーン(女装パフォーマー)、コンチータ・ウルスト(Conchita Wurst)だった。バンパイア風の黒と赤のガウンを着用したコンチータさんの登場で、場内はさらに盛り上がりをみせた。

 ゴルチエによると、コンチータに初めて出会ったのは2年前。5月に開催されたユーロビジョンではコンチータに73回も投票したと、冗談交じりに語っている。「コンチータは新たなジャンルをもたらしてくれました。男らしいひげを蓄えながら、同時に女らしさがあふれているという、驚くべき調和です。人生を自分の生きたいように生き抜くという彼の行為は、勇気と美に満ち溢れています」

 今シーズン、ゴルチエは、モデルのバストトップと局部だけは隠れるよう「スワロフスキー(Swarovski)」の深紅のクリスタルがあしらわれたトランスペアレントなドレスなどを発表した。

 ショー後のインタビューでゴルチエは、普段のカラフルさを抑えてみたと語っている。「いつになく色数を減らしてみたのは正解でした。ありきたりではありますが、黒は闇、白は純潔、赤は血をイメージしています」

■装飾で魅せる「エリー・サーブ」、ヴィンテージに手を加えた「メゾン マルタン マルジェラ」

 レバノン出身のデザイナー、エリー・サーブ(Elie Saab)のコレクションは、すでに定評があり、まさにレッドカーペットにふさわしい、多様な装飾を施したドレスを披露した。

 スパンコールやパール、繊細なスレッドをあしらったチュールやレースをふんだんに取り入れ、ファーの羽織を合わせた。

「メゾン マルタン マルジェラ(Maison Martin Margiela)」では、1920年代のパッチワークドレスや1940年代のボンバージャケットなど、ヴィンテージ品をオートクチュールに仕立て上げた作品が発表された。

 同メゾンはヴィンテージ服を買い付けて手直しを加えたり、新しいファブリックで作り直すことで新たなアートの形を生み出している。

広報は「サンプルや切れ端など普通ならクチュールが隠すものをあえて表に出し、装飾として復活させました」とコメントした。

 パッチワークドレスの一つは、米ニューヨーク(New York)のコレクターから買い取ったもので、もともと1930年代に子ども用のパーティードレスとして作り変えられていた。それを今回のコレクション用に改めて分解して修繕。植物モチーフの刺しゅうサンプルとつなぎ合わせるなどして、作りなおした。作業時間は延べ142時間に及んだという。

 1940年代のボンバージャケットはビスチェの上に羽織り、刺しゅうサンプルで作ったスカートに合わせた。背中には、「世界一の父へ、あなたを愛する息子ハーバートより。1949年日本・東京」と書かれている。

 一部のモデルは、黒いドット柄のおそろいのベールをかぶり、長くぶら下がるタイプのイヤリングをつけた。ほかにはロシアの「インペリアル・イースター・エッグ」のようなカラフルなベールで顔を完全に覆っているモデルもいた。

■一着一着がポエム「フランク・ソルビエ」

「フランク・ソルビエ(Franck Sorbier)」は、「ポエム」と題した今回のコレクションの着想を、ソルビエ家のルーツがあるフランス南西部の仏領バスク(Basque)から得た。

 今回のコレクションは、凱旋門(Arch of Triumph)近くの歴史的ホール「サル・ワグラム(Salle Wagram)」で、数百本のアロマキャンドルが揺らめく中で発表された。

 ボリュームのあるシルクスカートや長いレースのベール、床に長く広がるトレーンなどを取り入れた作品にはそれぞれ、「アルチュール・ランボー(Arthur Rimbaud)『わが放浪(My Bohemian)』」や「シャルル・ボードレール(Charles Baudelaire)『夕暮れの調べ(Evening Harmony)』」といった、19世紀のフランスを代表する2大詩人の作品名がつけられている。

 フランクはミシンとスーツケース1つ、そして思い出を胸に抱え、田舎から電車でパリに着いた日のことを思い出したいい、「こうした(昔の)幸せなイメージが、いつか形となって表れる日が来ると信じていました」と話した。また、心を尽くせばどのドレスも「詩的」で、「永遠」のものになりうるのだと語っている。(c)AFP/ Helen ROWE, Caroline TAIX