【4月3日 東方新報】春の訪れに日本では桜の開花を期待するが、中国では黄砂の到来に身構える。日本でも中国から飛来した黄砂で洗濯物が汚れたりするが、中国国内での影響はそんなものではない。ひどい時には街全体にモヤがかかったようになり、太陽がかすんで昼間なのに薄暗くなる。そんな日には健康被害を避けるために学校が休みになるし、交通や都市機能に影響さえ出ることもある。

 その中国で、今年は黄砂の「当たり年」のようだ。3月下旬までに大規模な黄砂の砂塵嵐(さじんあらし)が4回発生。去年の同じ時期は半分の2回だった。過去20年の平均は3.3回というから、それに比べても多い。3月19日から23日に発生した砂塵嵐は今年に入って最も激しかった。首都北京では、22日早朝までには空気中の汚染物質PM10が立方メートル当たり1630マイクログラムを観測。大気汚染を示すレベルとしては最高の「重大な汚染」を示す6級に達した。

 今回の黄砂の飛来元はモンゴル南部や新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)南部。強風で舞い上がった砂漠の砂やちりが高層の気流に乗って東に移動する。影響は北西部の新疆ウイグル自治区から始まり内陸部の陝西省(Shaanxi)や東北部の黒竜江省(Heilongjiang)など中国大陸を横断するように広範囲にわたり、5億6000万人の生活に及んだ。ひどい時は、視界が100〜200メートルしかなかった。

 モンゴルや中国北西部の砂漠地帯では3月上旬から中旬にかけての気温が例年に比べ高かった。凍土が早く溶けてしまったり、降水量の少なさから地表が雪で覆われず、むき出しになったりしたことが原因と考えられる。また、モンゴル南部のゴビ砂漠では去年は雨が少なく、巻き上がる砂塵を抑えてくれるはず植物の成長が妨げられた。

 中央気象台環境気象室の張碧輝(Zhang Bihui)主任によれば、モンゴル南部や中国側の内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)の砂漠地帯では、引き続き4、5月も雨が少なく例年よりも高温が予想されており、モンゴル上空の低気圧の南下に伴い砂塵嵐が起きやすい条件が整うという。そのため4月から5月にかけても砂塵嵐が発生する可能性が高く、張主任は、健康被害や都市機能への影響を避けるためにも天気予報などに注意して適宜しっかり対策をとるよう呼びかけている。

 黄砂問題は、日本や韓国にとっても喫緊で共通の課題。砂塵嵐の発生を防ぐためには植林などによって砂漠化を食い止め、生態環境を改善させる気の長い努力が必須だし、多方面での更なる国際協力も必要だ。(c)東方新報/AFPBB News