【11月5日 東方新報】中国でテレビの販売台数が年々落ち込んでいる。テレビの機能はスマートフォンやタブレットに取って代わられ、単身生活の市民が増えて家族だんらんでテレビを見ることが減っていることから、テレビが「生活必需品」でなくなりつつある。一方で高額の大型テレビの売り上げは好調で、テレビメーカーは生き残り策を模索している。

「2021年中国若年層家庭生活調査報告」によると、若年層が引っ越しの際に捨てる家電製品のトップ10でテレビが1位となり、全体の25%を占めていた。家族から自立して新居を構える際も、冷蔵庫やキッチン製品と一緒にテレビを購入せず、あとで必要があれば購入する市民が増えている。「60年以上の歴史を持つ中国のテレビ業界は、ついに『氷点下』に突入した」

 中国電子映像産業協会の劉棠枝(Liu Tangzhi)会長は10月20日、テレビ業界のトップが集まったシンポジウムで、現状をそう語った。中国のテレビ市場は2016年には5000万台以上が販売されたが、2019年は4772万台、2020年は4450万台と減少を続け、2021年は3800万台を下回る見込みという。わずか5年で販売台数が4分の3に減少する計算だ。

 テレビメーカーの新興ブランド「OPPOテレビ」の黄順明(Huang Shunming)社長は「消費者に聞き取り調査をすると、『製品は非常に良いと思うが、購入したいとは思わない』と答える」と説明。家電メーカー「創維(Skyworth)」首席科学者の沈思寛(Shen Sikuan)氏も「テレビ業界全体が冬の時代になった」と同調する一方、「危機よりもチャンスの方がまだ大きい。テレビのスマート化が進んでおり、消費者に新しい体験を提供できる」と強調した。

 老舗メーカー「海信集団(Hisense Group)」傘下の海信レーザーディスプレー社の王偉(Wang Wei)副社長は「今年第1~40週で、国内のテレビ販売台数は前年同期比で12%減少したが、売上高は17%増加した」と説明。高性能の大型テレビの売り上げが好調で、特にレーザーテレビは36%増と大きな伸びを見せており、「高性能テレビは消費者の需要があると確信している」と強調した。

 中国では中間層の消費力が向上しており、75インチ以上の大型テレビの売り上げが伸びているほか、家庭用プロジェクターの人気が高まり、2020年の出荷台数は前年比7.5%増の300万台に達している。「生活必需品」というより「ぜいたく品」としての需要は高くなっている。シンポジウムでは、ゲームや音楽の機能をテレビに充実させるほか、モノのインターネット(IoT)時代に対応してテレビを家庭の家電全体の「司令塔」にするなど、業界としての生き残り策が話し合われた。(c)東方新報/AFPBB News